【体験型観光が日本を変える 143】心痛む首里城の火災 体験教育企画社長 藤澤安良


 遺構が世界遺産に登録されている那覇市の首里城の火災は正殿など7棟にも及んだ。私も数回訪ねており、衝撃と落胆に包まれている沖縄県民と同じ気持ちである。

 歴史文化や観光としても沖縄のシンボルで今後に与える影響も大きい。火災原因の究明と今後の防火対策の徹底が求められる。さらには、容易に再建できるものではないが、一刻も早い再建が望まれる。

 その沖縄から約8千キロのハワイ島でこのニュースを知ることになった。キラウエア火山の爆発で溶岩が流失し、人命や家屋、そして観光に大きな影響を及ぼしたこともあった。現在は火口が展望できる場所まで行ける。

 私の数度目のハワイ島であり、観光スポットの多くを訪れている。リピーターの多くは、シュノーケリング、ダイビング、サーフィン、シーカヤックなどのマリンスポーツや、乗馬、バギー、トレッキング、太平洋で一番高いマウナケアは4205メートルと富士山よりも高い山頂からのスターウォッチングなど数十に及ぶ体験プログラムが用意されている。

 そのパンフレットが空港やホテルは当然ながら、スーパーマーケットやショッピングモールでも置かれており、観光地らしいというべきか、浸透している証でもある。ホテルのコンシェルジュでも滞在日程やオプショナルツアー相談から予約まですべて対応してくれる。

 日本の宿では、一流のホテルを除いては何とか面倒な客はやり過ごそうとしたり、「分かりかねる」などと変な返答をするなど、ほとんど親切な対応は見られないし、案内できるような情報を持っていない。お客の知りたいことは、スマートフォン(スマホ)検索に頼るところが多いのが現状であるが、それらは個人的主観の影響も多く精度は高くない。

 旅先で知りたい情報源は居酒屋、飲食店、ラーメン屋など多岐にわたるが、多くの体験談が収集可能な地元宿泊業の果たす役割は大きい。日本の宿泊施設はその期待に応えるべきである。

 過日、インテックス大阪でビジット・ジャパン・トラベルマートが開催され、私も地域に誘客するために、外国人バイヤーとの商談に臨み、2日間で25商談を行った。昨年の東京以上に、インバウンドのニーズは地方へと向いており、さらには、体験交流プログラムへの関心大で、食事のウエートも大きい。

 「パンもピザも出しません。日本食(郷土料理)で地産地消率90%以上にする」と言えば、方便にしてもぜひ行ってみたいという人が後を絶たない。つまりは、日本食がすでに地域特性が失われつつあり、冷凍食品と出来合いの惣菜が多いことに気づき出している。

 前述のハワイ島の食事はあまりおいしくないが、外国ですしを食べるのもどうかと思うが、ホノルル空港で握りの4貫で15ドル(約1700円)。それよりはるかにおいしい日本の回転ずしが30貫で1650円である。田舎の地産地消の食事は世界に通用する観光資源であり、食事作り体験が究極のぜいたくな体験プログラムになる。

 
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