【体験型観光が日本を変える 126】旅行業は構造改革を 体験教育企画社長 藤澤安良


 6月26日、私は大阪にいた。街角に警官が多い。27日から、ゴミ箱が利用できなかったり、検問が強化されたり、交通規制があったり、学校が休校になったりと、不便な数日が続いたが、原因は大阪で開催されたG20サミットの厳戒態勢である。

 世界各国の首脳が勢ぞろいした。ニュースで見た知っている多くの顔が記念写真に収まった。何かと、混迷や緊迫がある国際情勢の中で、まさに世界を動かす政治家のサミットはその関係改善に向けて、大きく進展し世界平和への道を築いてほしいものである。

 JR東日本の旅行会社、びゅうプラザの56店舗全ての営業を2022年の3月末で終了するとのこと。旅行需要は増えているが、その商品の購入方法がインターネットの台頭で大きく変化している。

 私も年間300日に及ぶ出張の航空機や宿泊の手配は全てネットで行っており、海外旅行も年間数回行っているが、ここ十年ぐらいは一度も旅行会社の店舗を訪ねたことはない。

 鉄道やバス、あるいは航空のチケット類はもちろん、宿泊に至っては迷うぐらいのたくさんのサイトがある。また、そのたくさんあるサイトでの料金を比較するサイトもある。その比較サイトよりも安いものもあり、氾濫する情報をうまく活用するには、利用する側の裁量も求められることになる。

 旅行業の存在価値が大きく変わろうとしている。時代の変化に対応しなければ、多くの社員を抱える旅行業者は生き残れない。つまりは、ネットなどの販売システムが確立すれば販売スタッフは少なくてすむ。一方、人が関わることでしか成立しない旅もある。

 たとえば教育旅行はその最たる例であるが、旅行会社側から提案されるコースは何年も踏襲された進歩のない、ありきたりのパーツの組み合わせであり、画一的なものばかりで、いずれの会社も大差なく、結果的に旅行代金での価格競争となり利益率が低くなっている。

 中高年の格安コースと変わらない神社仏閣、名所旧跡、テーマパークという、いつでも行ける観光ルートを提案するなら、自らの手で自らの未来を閉ざしかねない危うい行為となるが、それに気づいていないことも残念である。その言い訳として、学校側からの仕様書のせいにする。

 営業での勝負は仕様書提出の前にあり、仕様書を教育効果の高いものへと導くのも教育旅行のプロの仕事である。

 社会情勢、学校教育現場の課題、家庭教育の不足、新学習指導要領、SDGs、社会貢献、キャリア教育、主権者教育、防災教育、地球環境問題、国際交流など、山積する課題解決のため、学校教育現場や特別教育活動での行動が求められている今日、これらの課題に挑む企画は極めて少ないのが実情だ。

 どの組織の誰が動き出すのか、人間力を鍛える社員教育も不可欠であり、働き方改革は労働時間の削減だけではなく、その会社独自の教育プログラムが提案され、価格競争から企画競争に、そして、知恵や労苦が報いられる利益と給料が必要である。旅行業界構造改革の時でもある。

 
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