【体験型観光が日本を変える 117】10連休を有意義に過ごそう 体験教育企画社長 藤澤安良


 44年前に初めてヨーロッパを訪ねた時、パリの街を歩いたが、エッフェル塔、シャンゼリゼ通り、ルーブル美術館、そしてパリの発祥の地・シテ島にあるノートルダム大聖堂。その大きさ立派さ、薔薇(ばら)窓とも言われるステンドグラスの素晴らしさなどに感動をしたことを覚えている。世界文化遺産にも登録されている、その寺院で大規模火災が起こった。

 寺院はパリ市民はもとより、フランス国民の心のよりどころであったに違いない。悲しみが広がっており、とても残念である。一刻も早く修復に向けて動き出してほしいものである。

 間もなく「平成」が終わる。天皇皇后両陛下は伊勢神宮に退位の報告をされた。行幸の先々の沿道や沿線では天皇皇后としての最後のお姿を一目見たいと6万人もの人々でにぎわった。多くの人が感動の涙を流しているのを見て当方も感慨深く目頭が熱くなった。そして新元号の「令和」が始まろうとしている。10連休にもなるゴールデンウイークも始まる。

 旅行会社発表の情報では国内外とも旅行の予約状況は好調であると言われている。今回の10連休に関わらず、土日や夏休みも同様であるが、道路や交通機関、あるいは観光地が混み合い料金も高いことから、遠出をしないで別の楽しみ方を考えている人も少なくない。多様な志向があり、多様な過ごし方があるのは当然である。

 しかし、仕事中心の生活ではない、普段の生活では得られないものを得る機会にしたいものだ。それは、脳と心の静養と栄養補給により、生きる糧とやる気のチャージになることである。名所旧跡や温泉など著名観光地は当然ながら混み合うことになるが、有名でなくても、全国各地では、雪解けが進み、新緑が映え、山菜が採れ、花が咲き出すなど、素晴らしい自然はいっぱいある。

 知られていない田舎でも、今なお残る日本の原風景がある。今風に言えばインスタ映えである。その田舎には農林水産業などで営みの現場がある。そして、そこでとれた新鮮な野菜、山菜、魚介類などの「食」がある。さらには、そこに暮らす人々との出会いや会話ができるなら、魅力いっぱいの旅となるだろう。それらの要素が全て組み込まれているのが体験型観光のプログラムであり、その開発と商品化が求められるゆえんでもある。

 著名であるか、著名になるか、それは後からの話である。とりわけ外国人の視点は、先入観なく日本の魅力を見ていることから、全国各地が観光地となる可能性をもっている。外国人のリピーターは確実に初めての土地を探している。

 全国各地での地域振興策は、体験型観光振興であることは間違いないが、首長や議員、あるいは行政の担当者も気付いているところは少ない。気付いていても具体的な行動になっていない地域がほとんどである。「令和」の新時代に、さらなる地域の生き残り戦略が求められており、具体的な行動を起こす節目の時にしなければならない。

 
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