【交通トレンド分析4】下地島空港は宮古島インバウンド起爆剤になるか 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 今年3月30日に沖縄・宮古島から伊良部大橋で結ばれている下地島に「みやこ下地島空港ターミナル(以下下地島空港)」がオープンした。元々はパイロットの訓練をメインにした空港で、1994年に当時の南西航空(現在の日本トランスオーシャン航空)が定期便を撤退して以降は訓練のみで定期便の就航がなかった。そのような中で2015年1月に宮古島と伊良部島を結ぶ全長3540メートルの伊良部大橋が開通し、伊良部島から小さな橋で結ばれている下地島へ車で往来できるようになったことで状況が変わった。宮古空港はターミナルビルのスペースが足りなくなっており増便が難しくなっている中で、下地島空港はジャンボ機の離着陸もできる3千メートルの滑走路があり、国際線の出入国設備も完備したターミナルを三菱地所が中心となって建設した。海外リゾートホテルにいるかのような素晴らしい空港施設で、筆者も利用したが、リゾートにふさわしい空港である。

 ターミナルビルオープン初日の3月30日よりジェットスター・ジャパンが成田―下地島線を就航し、7月3日からは関西―下地島線も就航する。成田―下地島線は就航以来、搭乗率も堅調に推移し、これまでLCCが未就航であった宮古エリアにおいて存在感を増している状況にある。そして7月からは国際線の運航も開始し、本格的なインバウンド誘致が始まる。現在の宮古空港には国際線定期便の運航はないが、7月19日からLCCの香港エクスプレスが香港―下地島線を週3往復で就航することが発表された。

 隣の石垣空港には既に香港エクスプレスとチャイナエアラインの2社が就航しており、既に多くのアジアからの観光客が石垣島を訪れており、下地島空港に国際線定期便が乗り入れることで宮古島エリアにも訪日旅行客が増えることになる。宮古島と下地島の中間にある伊良部島ではリゾートヴィラタイプのホテルの建設ラッシュが続いているが、既存の宿泊施設では7月以降に香港からの予約が入り始めており、3月末のターミナル開業以来、好調に推移している。

 加えて、大韓航空もソウルから5月31日~6月9日の4日間でチャーター便を運航する。国際線利用者が順調に伸びてくれば、香港だけでなく、韓国、台湾、中国、東南アジアなどからのLCC便の就航も期待できるだろう。何よりも便数が少ないので、好きな時間に乗り入れが可能な点もLCC側にとってもメリットがある。宮古空港と車でわずか30分の距離であるが、両方の空港を上手に使い分けすることによって、宮古諸島を盛り上げてほしい。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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