【データ】JTB、「年末年始旅行動向の見通し」を発表


 JTBは4日、「年末年始旅行動向の見通し」を発表した。

JTBは、「年末年始(12月23日 ~ 1月3日)に1泊以上の旅行に出かける人」の旅行動向の見通しをまとめました。
この調査は、1,074人から回答を得た旅行動向アンケート、経済指標、業界動向や航空会社の予約状況、JTBグループの販売状況などから推計したもので、1969年に調査を開始して以来、今年で51回目となります。調査結果は以下の通りです(表1)。

 

<社会経済環境と生活者の動き>
1.旅行やレジャー消費を取り巻く社会や経済の環境
日本を取り巻く最近の経済環境をみると、10月の日本の輸出額は前年同月を9.2%下回って11か月連続で減少し、減少幅は3年ぶりの大きさとなりました。ここ1か月の株価は、米中貿易協議の進展状況や香港市場の動きなどによる変動はあるものの、概ね23,000円を超えて推移しています(図1)。為替レートは、対ドル、対ユーロについては年初以来小幅に変動しています(図2)。上場企業の9月中間決算では、最高益となる企業がある一方で、最終利益が前年同時期より減少する企業も目立ち、2020年3月期の業績見通しを据え置く企業も多くなっています。しかしながら9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.57倍で、前月を0.02ポイント下回ったものの高い水準が続いています。
11月発表の「景気ウォッチャー調査」(注1)によれば、10月の現状判断DI(季節調整値)は、36.7と前月から下落し、基準値の50.0を下回る状態が年初から継続しています(図3)。大手企業の今冬のボーナスは、造船や自動車、建設がけん引して前年比1.49%と増加し、金額では2年連続で過去最高を更新しましたが、全体の増加の幅は昨年(3.49%)より鈍っています。(11月14日、日本経済団体連合会発表)
JTBが実施した旅行動向アンケートで、「今後の旅行支出に対する意向」を聞いたところ「支出を増やしたい」は13.6%と、前年から2.5ポイント減少し、「支出を減らしたい(33.4%)」は1.5ポイント増加しました。「同程度(合計)(53.0%)」は0.9ポイント増加しています。この先の旅行支出に関しては減らしたい意向が強いと見られます(表2)。
(注1)タクシー運転手、小売店の店長など景気に敏感な人への調査結果を指数(DI)化したもの

2.今年の年末年始の旅行を取り巻く環境と生活者の旅行意向
今年の年末年始の休暇は、12月23日が祝日でなくなったため、昨年と違いクリスマス3連休はありませんが、12月27日(金)を仕事納めとすると、12月28日(土)から1月5日(日)までの9連休も可能な日並びになります。
前述のアンケートで、調査対象期間中の帰省を含めた旅行意向をアンケート対象者20,000人に聞いたところ、「行く(11.1%)」、「たぶん行く(8.9%)」と回答した人の合計は、20.0%となり、昨年より3.5ポイント減少しました。「たぶん行かない(21.2%)」「行かない(58.9%)」は80.1%で3.6ポイント増加しています(表3)。今の自身の生活や年末年始の過ごし方については、収入やボーナスが「減った」と回答した人が「増えた」と回答した人を上回っており、また、将来のための貯蓄も「増やしている」という人のほうが多くなっています。年末年始については、「旅行日数を減らす」「質素に過ごす」など出費については控えめな傾向がみられる結果となりました(表4)。 

<2019年~2020年 年末年始旅行動向予測>
1.海外旅行人数は76.2万人(前年比+0.3%)、海外旅行平均費用は202,000円(前年比▲1.0%)
出発日のピークは、12月28日(土)
2019年に入ってからの海外旅行人数は、過去最高だった2018年を上回るペースで伸び、今年1月~10月までの累計は対前年比6.9%増の1,673万人でした(日本政府観光局11月発表)(図4)。10月は対前年比で1.0%の伸びに留まり、ここにきて日韓関係や香港におけるデモの影響などにより伸び率は低下してきました。韓国からの訪日人数は7月から減少が続いているものの、日本人の韓国行きは9月までは前年を上回り、急な減少にはなっていません。全体では、今年の年末年始の海外旅行人数は76.2万人と、昨年から微増を予測します。
燃油サーチャージは昨年より低くなっており、為替レートは、昨年の同時期と比較すると全体にやや円が強い傾向です(表5、表6)。」海外旅行平均費用については、燃油サーチャージの低下や、全体的には旅行に関する出費を控える傾向がみられることなどから、前年比▲1.0%の202,000円と予測します。
出発日のピークは、12月28日(土)で、方面別の旅行人数予測では、日韓関係の影響で航空機の座席供給数が減少する韓国やデモの影響が残る香港が昨年より減少するものの、根強い人気の台湾や新規就航の続くベトナムなどの他のアジア諸国は増加傾向で、航空機の座席供給数が増加している北米、オーストラリア各方面等も増加すると予測しています。(表7)。
JTBの海外旅行の予約状況を見ると、人気の旅行先は1位ハワイ、2位グアム・サイパン、3位台湾となっています。予約伸び率を見ると、グアム・サイパンが特に好調で、ヨーロッパ方面は引き続きイタリアやスペインなどが人気です。アジア方面ではベトナムなどが人気となっています。

2.国内旅行人数は2,926.6万人(前年比▲2.1%) 国内旅行平均費用は32,000円(前年比▲5.9%)
観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、今年の1月~10月の日本人の述べ宿泊者数の合計はゴールデンウイークが好調だったため前年より0.3%増加していますが、6月以降は前年割れが続き、台風や大雨の影響などで10月単月の速報値も3,727万人泊で前年同月比▲2.8%となっています。今年の年末年始は、9連休も可能な日並びですが、景気の動向や所得の伸び悩みなどから、この間の国内旅行人数は2,926.6万人(前年比▲2.1%)、国内旅行平均費用は32,000円(前年比▲5.9%)と予測します。
アンケートで旅行すると回答した人に内容を聞いたところ、「同行者」は「家族連れ」が全体の
65.2%を占め、目的は「毎年恒例なので」が43.1%と最多となりました。家族連れの中では、「夫婦のみ」が増加し、その他は減少しています(表8、表9)。利用宿泊施設は「ホテル」が36.0%と前年より3.8ポイント増加していますが、「夫や妻の実家」も27.9%で、前年より1.3ポイント増加しました。夫婦のみの旅行では、「ホテル」や「夫や妻の実家」を利用する割合が高いことも増加の一因と考えられます(表10)。利用交通機関では、「乗用車」が52.7%と最も多い割合ですが、昨年からの変化をみると、新幹線や在来線、航空機などが増加しています。子供連れの家族旅行が減少していることもあり、今年は公共交通機関の利用が増えそうです(表11)。
「旅行日数」は、「1泊2日」30.5%(同+1.6ポイント)と「3泊4日」17.8%(同+2.2ポイント)が増加し、「2泊3日」27.7%は、前年より1.3ポイント減少しました(表12)。「旅行先」では、関東(24.6%)、東海(10.5%)が前年より増加しています(表13)。
今年の年末年始に出かける場所としてどのような場所が気になっているかを聞いてみました。全体では年末年始らしく「温泉」が最も多くなりました。年代別にみると、「美術館や博物館」は60代以上が多く「テーマパーク」は10代が多くなっています(図6)。
JTBの宿泊や国内企画商品の現在の予約状況をみると、12月31日の予約を中心に、休みが長いためか分散しています。前年と比べて好調なエリアは、令和で話題の伊勢志摩方面です。国内は予約の間際化が進んでおり、近場の温泉などは料金の変動をみながらこれから予約を入れようと考えている人が多いかもしれません。また、観光庁は、9月、10月の台風15、19号の被災地域に対して、被災地(注2)における1泊以上の旅行・宿泊商品の料金を、1人1泊当たり最大5,000円支援する「ふっこう割」を発表しており、これらの地域への需要の喚起が期待されます。
(注1) 対象地域:岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県

<旅行動向アンケート 調査方法>

  • 調査実施期間:2019年11月5日・6日
  • 調査対象:全国15歳以上79歳までの男女個人
  • サンプル数:事前調査20,000名 本調査1,074名(事前調査で「年末年始に旅行に行く」と回答した人を抽出し本調査を実施)
  • 調査内容:019年12月23日から2020年1月3日に実施する1泊以上の旅行(海外旅行を含み、商用、業務等の出張旅行は除く)
  • 調査方法:インターネットアンケート調査

*今回より、これまでの「調査員による質問用紙を使った個別訪問調査」から「インターネッ
トアンケート調査」に調査方法を変更しています。2018年の年末年始の市場調査より両調査を
並行して実施し、前年比は昨年のインターネットアンケート調査との比較です。

*  アンケート結果(表8)~(表15)は無回答や小数点以下の端数処理のため単一回答でも合計100%にはなりません。


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