【データ】東京都内における「訪日外国人観光客の消費に関するアンケート調査」


 LIFE PEPPERは24日、東京都内における「訪日外国人観光客の消費に関するアンケート調査」の結果を発表した。

海外向けWebマーケティングや、インバウンド集客事業を行う株式会社LIFE PEPPER(本社:東京都中央区、代表取締役:冨永重人、吉田行宏)は、東京都内での「訪日外国人観光客の消費に関するアンケート調査」を実施し、最新の調査レポートを2020年1月24日(金)より公開いたしました。

■調査実施の背景
今後人口減少・少子高齢化が見込まれる日本において、世界の観光需要を取り込むことは、経済の活性化や雇用機会の増大等につながる重要な施策です。より多くの外国人に訪日してもらうためには、ニーズにマッチした満足度の高い訪日体験を提供することが求められます。
国ごとの特徴に合わせたニーズに応えるために必要な取り組みを把握することを目的とし、中華圏、欧米豪圏を対象に、消費動向や訪日旅行における満足度を調査しました。

■調査サマリー
・「買い物」における中華圏と欧米豪圏の消費差額は約6倍に。
中華圏は「買い物」を訪日旅行のメインにおいている人も多い一方で、欧米豪圏においては「買い物」では消費を押さえる傾向があり、両圏の「日本旅行に求めるものの違い」が読み取れる結果となりました。
欧米豪圏は、お金をかけずとも街の雰囲気や食文化の違いを楽しむ傾向があることがわかりました。

・「宿泊」では、数の多さや手頃な価格帯の「ビジネスホテル」が利用率1位(45%)となった一方で、「Airbnb」(利用率20%)や、「民宿」(利用率が17%)が存在感を強めており、この流れは今後も続きそうです。

■「買い物」における消費差額は中華圏と欧米豪圏で約6倍に

 「買い物」の消費額が多かった場所と施設の平均消費金額

利用率ランキングと施設の平均消費金額 

 

最も消費額が多かった場所「百貨店・デパート」の全体の平均消費金額は¥79,110となりました。
中華圏に絞ると平均消費金額は百貨店・デパート(¥100,667)が最も高い結果となりましたが、利用率では1%差でわずかにドラッグストア(¥43,548)が上回る結果となりました。一方で、家電量販店(¥54,250)の利用率は12%と先述の百貨店やドラッグストアと比べると1/3ほどに留まっており、家電を爆買いする中華圏の観光客のイメージは前時代的になった印象です。
欧米豪圏は「コンビニエンスストア(¥3,500)」の利用率が最も高く、中華圏の観光客とは消費行動が大きく異なり、買い物の優先順位が低いことがわかりました。

「体験サービス」においては、なんでも揃う新宿エリアが人気

「体験サービス」の消費額が多かった場所と施設の平均消費金額

利用率ランキングとサービスの平均消費金額 

 

 

 

全体のランキングでは、「移動型観光ツアー」が最も利用率の高いサービスとなりましたが、平均消費金額は¥4,337と「一番お金を使った」にしては低い金額です。東京近郊では体験型の観光にあまり予算をとっていないことが伺えます。

利用率が高いのは新宿エリアで、ロボットレストランをはじめ訪日外国人観光客向けのアミューズメント施設が充実している事、ナイトライフが充実している事が理由として挙げられます。

宿泊」消費におけるAirbnbや民宿の存在感

「宿泊」の消費額が多かった場所と施設の平均消費金額

利用率ランキングと施設の平均消費金額 

 

「宿泊」に関して最も消費金額が多かったと回答したのは「ビジネスホテル(シティホテル)」の45%でした。平均消費金額では「ラグジュアリーホテル(¥23,194 )」となりました。Airbnbは1泊あたり¥8,172とホテルとあまり変わらない価格帯で利用されていることがわかりました。

中華圏全体の平均消費額は¥10,920で、買い物に予算を寄せて宿泊での出費は押さえている印象です。(同圏全体の買い物における平均消費額=¥44,366)
中華圏では「買い物>宿泊」というモチベーション結果になりました。

訪日旅行中の満足度と消費

「満足度が高かった項目と平均消費金額

「満足度が高かったランキングと項目の平均消費金額

 

 

全体では、「買い物」に満足したと回答する人が3割強で最も多く、平均消費金額は¥21,878という結果になりました。

中華圏では全体と同じく「買い物」に満足した人が最多ですが、欧米豪圏は「飲食(¥4,382)」が最多(37%)となっており、ここでも中華圏と欧米豪圏で求めるものが異なることがわかりました。
また「満足度」が高かった項目の平均消費金額でも中華圏は¥15,980、欧米豪圏は¥5,750と3倍ほどの差があることがわかりました。

番外編!人気のエリアランキング
買い物」、「サービス」、「宿泊」、「満足度」人気ランキングでは新宿が1位を独占!

(n=146)(n=146)

最も消費活動が行われている場所は、すべての項目で新宿エリアであることがわかりました。またエリアごとの平均消費額をみると、銀座や渋谷、丸の内が上位になりました。
これは、渋谷、新宿、銀座及び丸の内は訪日外国人観光客にとっては「買い物をするエリア」と認識されているため消費が活発であること、消費金額で他のエリアと大きく差をつけた銀座、東京/丸の内とその他では、購入する商品の金額に差があることも影響していると考えられます。
銀座、東京/丸の内は主にブランド品など、単価が高めの商品を買う人が多い街です。一方、渋谷や新宿はライトなものを大量に購入する人が多い傾向があります。

<総評コメント>
爆買いの時代は終わったとも言われていますが、調査の結果を見ると中華圏からの観光客はまだまだ「買い物の消費金額が高い」層であることがわかりました。一方で、サービスや宿泊にはあまり予算をとらない点は、他の国からの観光客と大きく傾向は変わらない結果となりました。

欧米豪圏は、中華圏と比べかなり消費金額を押さえる傾向にあり、お金のかからない旅行スタイルを楽しむ観光客が多く見られました。また買い物を目当てに東京へ来る中華圏とは異なり、飲食を楽しみにして満足している人が多い事がわかりました。弊社は訪日観光客にデプスインタビューも行っていますが、両圏の「日本との距離」、「日本への文化理解」、「日本旅行に求めるもの」などには大きく差があり、これらが旅行内容に違いを生んでいる要因であると考えられます。
また、観光庁が行った直近5年間の訪日外国人旅行消費額調査では、2014年は「娯楽等サービス費」における消費額が465億円だったのに対し、2019年には1,899億円まで伸びています。

2020年以降は、国際的なイベント開催の影響や、直近に発生したイラン問題、香港の情勢、韓国の徴用工問題に端を発した半日の機運、それから先日まで台湾で行われていた総選挙の影響など、さまざまな国際情勢に注視していくと伴に、徐々に変化していく訪日観光客のニーズを読み取っていく必要があります。(コメント:高橋祐輔)

*1:【出典】国土交通省観光庁 「訪日外国人消費動向調査」(2014年-2019年)

訪日インバウンド仕掛け人
高橋 佑輔

経済産業省で約6年間勤務し、退官後株式会社LIFE PEPPERに入社。新規サービス開発とチームマネジメントを行う。アジア全般のインフルエンサー、ブロガー広告に精通し、複数の日本企業の海外進出・インバウンド戦略に関わる。主に大手百貨店や小売業のインバウンド戦略に携わっており、行政目線・リアル店舗目線・外国人目線の3つの視点から企業の訪日外国人集客を支援。実際に台湾現地の最前線でインフルエンサーマーケティングを学び、マーケティング戦略に反映。“その国の国民性”に着目したプロモーション企画で唯一無二の価値を提供している。

調査概要
調査設計・分析:株式会社LIFE PEPPER
調査名:「訪日旅行中の消費に関する調査」
調査手法:街頭調査
調査対象:10~60代の訪日中の外国籍男女
調査対象地域:東京23区内(主に浅草・上野)
調査実施時期:2019年12月19日~12月20日
有効回収数:146サンプル(欧米豪圏46:中華圏100)
主な調査項目:訪日旅行中の消費について(買い物・体験・宿泊)/都内観光の満足度と消費額


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