【テツ旅、バス旅 84】函館新幹線 鎌倉 淳


 北海道新幹線の新函館北斗駅は市街地から離れていて、函館駅へ行くには在来線への乗り換えが必要です。いまは東京方面からの列車を利用するときだけですが、新幹線が札幌まで延伸すると、札幌方面からも新函館北斗駅での乗り換えが生じます。

 それでは不便ということで、新幹線を函館駅まで乗り入れさせる計画が浮上しています。いわば「函館新幹線」です。

 その調査報告書が公表されました。新函館北斗―函館間の在来線の線路に、レールを1本加える三線軌条方式で、技術的には可能という内容です。実現すれば、函館駅と札幌駅を直通する新幹線列車を設定できますし、東京駅直通も期待できます。

 停車駅は函館、五稜郭の2駅と想定。線路工事のほか、駅のホームや保安システムを改修します。整備期間は約5年で、すぐに着手すれば、2030年度末を目標とする新幹線札幌延伸との同時開業も可能です。

 函館―札幌間の想定所要時間は1時間23分。現在は3時間50分くらいかかりますので、乗り換えなしでこの時間は画期的です。

 整備費は車両費別途で157億~169億円。経済波及効果は114億~141億円と見込んでいます。

 技術的には可能で、費用も非現実的な数字ではないという結論を得ましたが、運行面では課題が残ります。新在直通用の車両を投入する必要がありますが、東北・北海道新幹線の10両編成では輸送力過剰です。札幌―函館間の道内完結列車なら6両程度に減らしてもよさそうですが、その車両をどうするかは議論になるでしょう。

 東京直通列車を走らせるのは、ややハードルが高くなります。東京からの10両編成を函館行きにすると輸送力過剰の上、札幌行きが減ってしまいます。7+3両のように分割併合できる形にすると、先頭車両のぶん編成定員が減ってしまいます。

 秋田新幹線で使われているミニ新幹線車両を投入し、盛岡で10両編成と増解結するという方法も考えられます。ただし、盛岡以北の車両定員が不足するという問題があります。

 費用負担も大きな課題です。車両費を含めた事業費は300億円規模になりそうですが、JR北海道に投資余力はありません。函館市が負担するにも大きすぎる金額です。

 実現には国や道の協力が不可欠で、前向きな議論を期待したいところです。

(旅行総合研究所タビリス代表)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒