【テツ旅、バス旅 83】敦賀駅乗り換え問題 鎌倉 淳


 北陸新幹線の金沢―敦賀間が延伸開業しました。祝賀ムードのなかで話題になったのは、敦賀駅での乗り換え問題。大阪・京都―福井・金沢などを旅行する場合、敦賀駅で乗り換えが生じるのですが、いつまで続くのか、という話です。

 北陸新幹線には敦賀から新大阪までの延伸計画があり、2016年に「小浜・京都ルート」で決定しています。環境アセスも着手済みですが、その後の進展が聞こえてきません。ルート決定から8年もたつので、そろそろ詳細ルートや駅位置などが明らかにされてもいい頃ですが、いまのところ、分かっているのは大枠だけです。

 環境問題も影を落としています。敦賀―新大阪間の大部分がトンネルになるため、掘削土の処理問題や、地下水への影響が懸念されているのです。詳細ルートが発表される前なのに、反対運動まで起こっています。今後、大きな問題になる可能性もあるでしょう。

 さかのぼれば、敦賀―金沢間には、米原、湖西、小浜(亀岡経由)の3ルート案がありました。小浜・京都ルートが難しいなら、立ち返って、米原ルートに変更してはどうか、という意見も出ています。

 米原ルートなら建設距離が短く、早く開業にこぎ着けられるのは確かでしょう。しかし、米原―新大阪間を東海道新幹線と共用するので、ダイヤは過密。JR東海・西日本とも乗り気ではありません。

 とはいえ、敦賀駅での乗り換えは、利用者としては不便です。とくに、大阪・名古屋―福井間などは、乗り換えのおかげで時短効果はほとんどなく、新幹線開業でかえって不便になった観もあります。

 暫定的な解決策としては、大阪や名古屋からの在来線特急の一部を、福井や金沢まで直通運転させる方法があります。

 東海道線の名古屋―米原間は新幹線の並行区間ですが、在来線特急「しらさぎ」が走っています。利用者の便宜を図ってのことでしょうが、同じように考えれば、敦賀―福井間・金沢でも在来線特急を残すことが、利用者本位の施策です。現実には、それが全部廃止されてしまったわけで、利用者が置き去りにされている印象をぬぐえません。

 北陸新幹線の大阪延伸開業の時期は見通せず、敦賀乗り換えが20年は続きそう。長期にわたる課題なので、鉄道会社には柔軟な対応を望みたいところです。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
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