「アレルゲン対応」製品の拡充 味の素冷凍食品 製品戦略部 阿部氏に聞く


若鶏の唐揚げ(上)と、国産鶏のレモンバジルナゲット

団体客の大量調理にも対応

 味の素冷凍食品(東京都中央区)は、味の素グループならではの付加価値「おいしさNo.1」「楽しさ」「健康・栄養」「環境への配慮」を提供することで、社会課題解決や生活者ニーズに対応し、ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)を推進している。昨今の人手不足に頭を抱える宿泊市場の課題に寄り添い、貢献する製品とサービスの提供を図っている。

 昨年8月からは、業界に先駆けて「健康・栄養」の独自価値に基づく修学旅行生をターゲットにした特定アレルゲン不使用製品のラインアップを拡充している。製品戦略部フードサービスグループの阿部裕太郎氏に、製品の特徴や、今後の方針を聞いた。

 ――修学旅行生など団体客を数多く受け入れる宿泊市場のアレルゲン対応の現状について、どう認識しているか。

 アレルゲンの課題を持つ学生の食事は全て個別で対応している施設が数多く存在する状況で、慢性的な労働力不足や調理・設備などの課題を抱える中で、対応に苦慮している様子が見受けられる。

 ――アレルゲン対応製品の説明を。

 アレルギーの原因食物は「小麦・鶏卵・牛乳」で約6割を占める(出典‥消費者庁『令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業報告書』)。新製品は約2年の開発期間と約100回の試作を経て、小麦・卵・乳原料の不使用を実現した家庭用製品「やわらか若鶏から揚げ」の知見と独自技術を踏襲し、宿泊市場ならではの調理方法や規格に設計し発売に至った。

 主な特長は、小麦、卵、乳原料不使用で、スチームコンベクションオーブンで一度にまとめて大量調理が可能。アレルゲンに対する個別の手間を省き、業務効率化を実現する。

 従来、フライヤーを使用した揚げ調理が一般的なから揚げやナゲットは、フライヤー内における他製品とのアレルゲンコンタミリスク(特定アレルゲンが意図せず混入し食品が汚染されること)の懸念が生じる。

 しかし、スチームコンベクションオーブンを活用することで、洗浄によるアレルゲンコンタミリスクを減らし、大量調理を実現するなど、安全面にも配慮する点がポイント。揚げ、電子レンジ、自然解凍といった厨房設備に合わせた調理方法でも提供可能。

 さらに、オペレーション課題の解決に加えて、全員で食事のおいしさ、楽しさを共有できることで、修学旅行生など団体客の満足度向上にもつながると考えている。

 製品のラインアップは、おいしさを追求した定番の「若鶏の唐揚げ」と、さっぱりとした味わいが特徴の「国産鶏のレモンバジルナゲット」を用意。

 ――アレルゲン対応製品の宿泊市場での活用事例と、今後の展開については。

 製品のコンセプトや品質、調理方法について、一定の評価をいただいている。修学旅行のメニュー選定は1~2年前から始めるため、まだ実際の導入事例は少ないが、少しずつ認知が広がり、採用実績が増えている。また、連泊対応するためには主食メニューの複数ラインアップが必要なため、さらなるアレルゲン対応製品の拡充を図っていく。

 ――宿泊施設をはじめとして旅行会社・学校関係者にメッセージを。

 旅行会社などは、団体での食事の際は前もって食事会場に行き、アレルゲン対応の現状を確認するなど、食物アレルゲンに対する関心は非常に高く、苦心されていると認識している。安全管理面において、修学旅行や合宿などに関わる全ての方に寄り添い、サポートできるよう取り組んでいきたい。

味の素冷凍食品 製品戦略部フードサービスグループ 阿部裕太郎氏

◇   ◇ 味の素冷凍食品 本社=東京都中央区銀座7の14の13 日土地銀座ビル▽資本金=953億7650万円▽従業員数=約2900人▽事業内容=冷凍食品の研究開発、製造、販売▽年商=1057億円▽連絡先=TEL03(6367)8600(代表)。

若鶏の唐揚げ(上)と、国産鶏のレモンバジルナゲット

 
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