帝国データバンクによると、「金融円滑化法」に基づく貸付条件の変更などを受けていた企業の倒産(金融円滑化法利用後倒産)は7月に41件判明し、2009年12月の同社の集計開始後で最多を記録した。1〜7月の累計も2011年の年間総数に迫る勢い。「返済猶予期間中に業績回復できず、むしろ業況が悪化し行き詰まる企業が増えている」状況で、今後も倒産件数は増える見通しだ。
金融円滑化法(中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律)は、2009年12月に2011年3月末までの時限立法として施行。中小企業が金融機関に貸付条件の変更など返済の負担軽減を求めた場合、金融機関に対しそれに応じるよう努力義務を課している。厳しい経済情勢で二度にわたり適用期間が延長されたが、来年3月末に期間が終了する。
今年7月の金融円滑化法利用後倒産は前月の16件、前年同月の17件を大きく上回った。月ベースでは今年1月の32件を上回り、最多を記録した。
今年1〜7月の累計は186件。昨年1〜12月の194件に迫っており、8月に前年の総数を上回るのは確実な情勢だ。同じペースで推移すれば、年間300件に達する見込み。
今後について帝国データバンクは「円高、政局不安、各種政府補助金終了後の需要急減など不安要素ばかりが目立つ。金融機関による企業選別も一層進むとみられる」として、中小企業の同法利用後倒産が今後も増えるのではとみている。