参画13機関が事例など紹介
近畿経済産業局および関西経済連合会は3月15日、インバウンドの需要回復に向けた取り組みを考えるフォーラム「第7回はなやかKANSAI魅力アップフォーラム」を大阪市中央区のニューオータニ大阪で開催した。13の参画機関のほか、多数の領事館、海外経済機関らが出席。テーマは「Withコロナ・Afterコロナを見据えたインバウンドの需要回復に向けた取組を考える!」。関西にある地域資源を磨き上げ、世界に通用するブランド化を目指す。
フォーラムは、3部構成で開催。1部では観光業界の現状や観光需要喚起策といった支援のための取り組みを、(1)近畿運輸局(2)関西観光本部(3)近畿大学(4)近畿経済産業局―の4者が紹介した。
フォーラムの冒頭、近畿経済産業局の米村猛局長が「観光業は、コロナの影響が直撃している。コロナ以前のようなインバウンドの水準に戻るには相応の時間を要するだろうがいずれ必ず戻ってくる。この時期にこそ、事業の継続という守りを万全にしつつ、同時に関西の魅力を高める『攻めの取り組み』も行わなければならない。また、大阪・関西万博を意識したムーブメントを起こしたい」とあいさつした。
近畿運輸局は、角谷敬二郎観光部長が近畿運輸局の取り組みを発表。プロモーションとして台湾(台北、台 中、高雄)の旅行会社、教育機関に関西への旅行のPRを観光セミナー、個別相談会などを、オンラインを通じて行った事例を紹介した。相談会成立件数は1020件に達した。このほか、関西広域PR動画の制作や、海外メディア(英語圏)招聘(しょうへい)による京都―大分間の広域周遊観光の提案などの取り組みを披露した。
関西観光本部は、東井芳隆専務理事が「インバウンド再開時に向けてわれわれが取り組んでいること」と題し、2020年度の海外プロモーション活動((1)台湾オンライン大商談会(2)米国デジタル旅行博〈VTAS〉出展(3)海外高級旅行雑誌への記事掲載)などを紹介した。
近畿大学は、高橋一夫経営学部教授が「インバウンドマーケティングにおけるDXの提言」をテーマにインバウンドマーケティングにおけるDXの活用などを説いた。高橋教授はDMS(観光地マネジメントシステム)による地域の課題解決を挙げ、(1)AIコンシェルジュによる検索、予約のサポート(2)地域単位でのデータ収集、活用(3)DMOのサポート(4)動的データの活用―の必要性を話した。
近畿経済産業局は、青木登通商部長が「地域ブランド支援とインバウンドへの貢献」をテーマに、地域のブランド支援を通じた地域活性化について発表した。青木部長は稼げる地域を目指した「地域ブランドエコシステム」形成への支援や、新モデルとなる10の地域ブランドの紹介、地域ブランド関係者と支援機関、外部専門家などが集う地域ブランドネットワークサロンの開催、Osaka Metroとの連携協定締結などを紹介した。
2部では、インバウンドの回復に期待を寄せる企業6社(第4回はなやかKANSAI魅力アップアワード受賞企業)を招き、コロナ禍における企業の取り組みや将来の事業戦略などについてパネルディスカッションが行われた。
3部では、参画機関(日本貿易振興機構〈ジェトロ〉大阪本部、中小企業基盤整備機構〈中小機構〉近畿本部)がインバウンドに対応した観光事業者への支援の取り組みなどを紹介。インバウンドの経済効果の高さやインバウンド再訪時に向けたデジタルを活用した海外販路拡大の必要性などを説いた。
はなやかKANSAI魅力アップフォーラムは、2021年度事業計画として、第8回はなやか関西魅力アップフォーラムの開催のほか、地域に潜在する訪日観光客の取り込みや、在住外国人の居住、生活サポートに資する事業、活動などを発掘し、優良事例を表彰、周知する第5回「はなやかKANSAI魅力アップアワード」の実施、外国人受け入れ環境整備に係る先進事例の発掘、周知を行う。
あいさつする米村局長
会場の様子