最優秀賞(観光庁長官賞)1点・優秀賞3点
観光経済新聞社は9月14日、創刊70周年記念論文コンテスト(観光庁後援)の審査会を東京の本社会議室で開き、入賞作品6点を決定した。応募総数48点の中から7人の審査委員(委員長=本保芳明・国連世界観光機関駐日事務所代表)らが選定。最優秀賞(観光庁長官賞)1点、優秀賞3点、特別賞2点を選んだ。表彰式は来年1月15日に本社が開催する「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」(会場=東京・浅草ビューホテル)の席上行う。
論文コンテストは本社の創刊70周年記念事業の一環。「観光産業の未来像」「観光産業への提言」「私の旅館経営」などをテーマに、宿泊業、旅行業、運輸業、行政など、観光関係の業務に関わる人や、以前関わっていた人、これから目指す人などを対象に作品を募った。募集期間は4月11日から8月10日までの4カ月間。この間、郵便やeメールで48の作品が寄せられた。
採点は2回にわたり実施。社内と審査委員1氏の第1次審査で評価の高かった8点を第2次審査への進出作品に決定。第2次審査では「独創性」「有用性」「分析力」「表現力」の観点から審査委員が各作品を採点した。
9月14日に行った審査会では、7氏の採点結果をもとに、各賞にふさわしい作品を協議の上、選定した。
最優秀賞(観光庁長官賞)は宮崎県総合博物館学芸員などを歴任した吉岡けい子氏の「α世代の観光への提言~観光と地方の博物館を結びつける~」に決定。「新たな観光コンテンツとしての博物館活用の可能性を示した興味深い小論」「『博物館』に焦点を絞ったことで論旨が明確となり成功している論文。個人的な体験等を踏まえた具体的な提案が多く、有用性も高いと考えられる」「地方創生に大いに参考になる」と、審査委員から高い評価を得た。
優秀賞は佐々山茂氏(佐々山建築設計代表取締役、国際観光施設協会理事・エコ・小委員長)、今井学氏(兵庫県・民宿美味し宿かどや代表取締役)、國米理奈古氏(国際基督教大学卒業)の3氏が受賞した。佐々山氏は「持続可能な旅館像を提案する小論。実際的で好感」、今井氏は「宿泊業の従来からの課題解決に向けた意志を感じる。論旨、提言が具体的なので有用性が高い」、國米氏は「阿蘇の復興に観光の果たす役割を効果的に述べている」とそれぞれ評価を受けた。
このほか当初設定のなかった特別賞を決定。琴平グランドホテル(香川県)代表取締役会長の近兼孝休氏、中学2年生で、実家が旅館「山景の宿 流辿」「流辿別館 観山聴月」(宮城県)を経営する鈴木陽夏さんが受賞した。近兼氏は自身の旅館経営、鈴木さんは自らの将来の夢を描いた作品で、「後進の旅館経営者の参考となる」「将来の旅館業界を担う人材を応援したい」と、受賞が決まった。
最優秀賞に賞金30万円、優秀賞に同10万円、特別賞に同5万円がそれぞれ贈られる。表彰式は来年1月15日の「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」の席上行う。
【入賞作品】(筆者敬称略)
◎最優秀賞(観光庁長官賞、賞金30万円)=「α世代の観光への提言~観光と地方の博物館を結びつける~」吉岡けい子
◎優秀賞(賞金10万円)=「ウイズコロナ時代の旅館像」佐々山茂▽「コロナ後を踏まえた観光産業の未来像」今井学▽「熊本地震による阿蘇観光業への影響と今後の発展と復興に向けて」國米理奈古
◎特別賞(賞金5万円)=「私の旅館経営」近兼孝休▽「夢に向かう力」鈴木陽夏
【審査委員】(順不同、敬称略)
本保芳明(国連世界観光機関駐日事務所代表、審査委員長)▽五十嵐徹人(観光庁審議官)▽石塚勉(日本ホテル教育センター理事長)▽久保田穣(日本観光振興協会理事長)▽佐藤英之(日本旅館協会専務理事)▽島川崇(神奈川大学国際日本学部教授・日本国際観光学会会長)▽積田朋子(観光経済新聞社社長)
各賞を決めた審査会(9月14日、本社会議室)