観光庁、1種旅行業の決算書など毎年提出義務付けへ てるみ破綻で方針

  • 2017年8月12日

 格安海外ツアーなどを取り扱うてるみくらぶは、3月27日に破産手続き開始の決定を受けた。同日時点の一般客に対する債務は約99億円。同社は第1種旅行業で日本旅行業協会(JATA)の会員だったが、旅行業法に基づく弁済業務保証金制度でカバーできる弁済額は1億2千万円にとどまった。

 てるみくらぶの事案で浮かび上がった問題への対策を検討しようと、観光庁は4月に有識者会議「経営ガバナンスワーキンググループ」(座長・山内弘隆一橋大学大学院商学研究科教授)を設置。これまで4回の会合で対策の方向性が見えてきたことから、具体的な制度改正に乗り出す。

 経営の健全性の確保では、旅行業者は旅行業法に基づき、5年ごとの登録更新時に直近の経営状況などを示す書類を提出し、必要な財産的基礎を有しているかチェックを受けるが、登録更新時以外にも、決算申告書、納税証明書などを1年に一度提出させるように改める。

 提出書類に疑問点などがあれば、観光庁が調査する。必要に応じてJATA、全国旅行業協会(ANTA)にも調査を依頼する。

 登録更新の際には、書類の信頼性を確保するため、公認会計士などが、観光庁への提出書類と企業の総勘定元帳などを照合した旨を記載した書類の添付も義務付ける。

 経営悪化などの情報を早期につかむため、第三者機関に通報窓口を設置し、企業内部、他の企業からの通報を受け付ける制度も創設する。貸し切りバスの下限運賃割れ対策で導入した業界の通報制度などを参考にする。

 弁済業務保証金制度では、弁済金、保証金の水準を引き上げる。これまで制度が一定の機能を果たしてきたこと、過度な拡充が旅行業の経営規律を損なう可能性なども議論されてきたが、経営の監督強化と併せて制度を一部見直す。具体的な引き上げ幅については、有識者会議の委員の意見を踏まえて今後決定する。

 また、てるみくらぶの事案を課題として、前受け金の支払い期間、手配した宿泊施設などへの支払いなどに関するガイドライン(指針)を整備するようにJATAに要請。広告表示、旅行者募集などの適正化につなげる。

 ガイドラインでは、前受け金自体は規制しないが、海外ホテルの確保やクルーズの商品造成などで、通常より前に前受け金が必要となる場合はその旨を広告やパンフレットに記載するよう求める。また、旅行業者の経営破綻に伴って旅行者に二重の支払いが生じないように、手配した宿泊施設などへの支払いに関して遅延を防止する規定を盛り込むように促す方向だ。

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