経済産業省は11月30日、幕末から昭和初期にかけて、日本の近代化の過程で活躍した建造物や機械などを「近代化産業遺産郡」として指定した。初の試み。指定したのは33の遺産郡で、外貨獲得と国際化に貢献したとして、宿泊施設も相当数入った。
単体ではなく、あるテーマでいくつかの遺産をつないだのが特徴。地域の産業や技術の発展をしのぶストーリーを構築して魅力と価値を高め、新たな観光資源として地域活性化に活用してもらうのが狙い。
初回は全国約450カ所の遺産を含む33のストーリーに整理、編集した。遺産のロゴマークも決めた。
「外貨獲得と近代日本の国際化に貢献した観光産業草創期の歩みを物語る遺産郡」「京都における産業の近代化の歩みを物語る琵琶湖疎水などの遺産郡」などを選定。
観光産業遺産郡については、北海道や栃木県、神奈川県など14道県にあるホテルやゴルフ場などを指定した。
同省は「近代日本の観光産業の発展を象徴する代表的遺産は、現在でも創業時の建物が現存している近代ホテル郡」として、日光の金谷ホテル、箱根の富士屋ホテル、六甲の六甲山ホテルなどを選んだ。このほか、国営で迎賓館的役割を担った奈良ホテル、北海道開拓事業の成果の象徴として建てられた札幌の豊平館なども選ばれた。