経済同友会(代表幹事・長谷川閑史武田薬品工業社長)はこのほど、(1)休日分散化の実現に向け議論を再開する(2)観光業へ成長マネーが入る仕組みを構築する──などの提言を盛り込んだ「観光立国に向けた環境づくりを進める〜次代を担う産業としての成長基盤を作る」を公表した。休日分散については、経団連などはサプライチェーン(部品供給網)や金融決済などに影響が出るとして導入に消極的だが、同友会は前向きの姿勢を示した。
観光立国委員会(委員長・星野佳路星野リゾート社長)が中心になってまとめた。
提言は、休日分散が実現すれば観光需要が平準化し、宿泊業や運輸業の生産性が向上、「それにより、従業員給与が増加して優秀な人材が流入、ソフト面の競争力が強化されると共に、新規投資も可能になる」と指摘。価格低下の実現により希望施設への予約も容易になり、観光地の混雑も解消され、利用者の利便性も向上するとしている。
さらに、「休日の分散化が電力不足の対応にも一定の意義があるとすれば、その視点からも再検討する余地がある。与党成長戦略・経済対策プロジェクトチームで検討された『秋先行実施・2もしくは3地域で分散』案を俎そ上に載せるべきだ」と求めた。
「成長マネー」については、具体案として(1)投資減税の仕組みを構築(2)要件を満たす宿泊施設には固定資産税を軽減する(3)「投資・経営」の在留資格の緩和と、いわゆる投資ビザの発給により、海外からの投資の増加、および外国人投資家の訪日機会の増加を図る──を示した。
(1)では国際観光ホテル整備法施行規則で設備要件を定め、租税特別措置法に明記。投資減税をインセンティブとし、経営と投資の分離を促進し宿泊施設にプロの経営(専門オペレーター)が参入するように誘導するとしている。
このほか、地方の空港経営に民間企業の経営感覚、手法を導入することや、訪日旅行者の視点から情報の利活用、サービスのあり方を改善するよう提言。
訪日旅行者に関しては政府、地域、事業者それぞれの取り組みに言及。政府に対しては、JNTOや経済産業省などのウェブサイトの検索エンジンの最適化、NHK国際放送の活用を求めた。