秘湯を守る会、るるぶトラベルでの宿泊販売を本格化


 日本秘湯を守る会(佐藤好億会長、192会員)は12月20日、静岡県熱海温泉の大観荘で11年度の通常総会を開き、「変革元年」と位置付けた12年度の事業を決議した。12年度は、新たにi.JTB運営の宿泊予約サイト「るるぶトラベル」での宿泊販売を本格的に開始し新規顧客の開拓を図るほか、同会の宿泊予約サイトの手数料を3%から6%に増額して手数料収入を元にサーバー強化や新システム対策、財務体質の改善を進める。地熱対策委員会を中心に、無謀な地熱開発への反対運動にも力を入れる。

 総会の冒頭であいさつした佐藤会長=写真=は、東日本大震災、原発事故などに言及した上で「原発後のエネルギー問題をどう補填していくかということでアッという間に地熱利用が促進の方向に進んだ。だが大規模ボーリングはわれわれの温泉源にも影響が出ると考えられる。もし温泉が枯渇した場合には、地方文化の破壊にもつながる」と述べ、無秩序な大規模地熱開発への警戒感を表した。また会のあり方については「当会の目的の1番は、人作りだ。心なくして旅人の接遇はない。この会を1人の人間として宿を通して何を生涯の糧とすべきなのか。地域にどうあるべきなのかを考える場としてほしい」と会員に呼びかけた上で、理念や目的はそのままに、販売手法を積極的に変えていく方針を示した。

 販売促進に関する事業では、同会の基幹事業である「スタンプ押印事業」と同会ウェブサイトへの全会員宿のプラン掲載の推進と併わせ、るるぶトラベルでの宿泊プランの販売を本格的に始める。るるぶの参画旅館数が70軒を超えた段階で、ヤフートラベルでの販売も始める考えだ。

 地熱開発問題に関連しては、同会全会員が所属する「温泉学会」からの会員の退会と、理事を務める役員の退任を決めた。同学会が地熱開発の温泉への影響について調査を行った際に、秘湯の会会員の協力を受けて実施したにもかかわらず、調査に参加した研究者が秘密事項である調査内容を漏洩し、秘湯の会会員に不利益を与えたと判断したことによるもの。

 このほか東日本大震災で影響を受けた東北周辺に利用者を誘致するために、高速道路のインターチェンジと会員宿の位置関係をまとめた「東日本応援ロードマップ」を50万部作成し、会員宿で配付することも決めた。

 総会には朝日旅行から井沢啓社長はじめ役員らが出席。来賓として廣川允彦・日本温泉協会会長、平野富雄・源泉湯宿を守る会会長も出席した。また山口健一・i.JTB販売本部副本部長らからるるぶトラベルについての説明が行われた。

秘湯関連の売上高 震災後も好調に推移
朝日旅行・井沢社長

 日本秘湯を守る会の総会であいさつした井沢社長は、朝日旅行の11年度の旅行取り扱い状況に触れ、秘湯を守る会関連の取り扱いが、人員、売り上げとも前年に比べ2ケタの伸びとなっていることを明らかにした。

 井沢社長によると、同社の国内旅行の売上高は11月までの累計で前年比9%減。その一方で、秘湯を守る会関連の旅行商品の取り扱いは、人員が同16%増、売り上げが同19.8%増。また秘湯を守る会のウェブ取り扱いは14.4%増。

 秘湯関係商品の好調について井沢社長は、「居心地の良さや温かさ、華美でない良さに人が引き付けられる時代となり、『秘湯は人』なりという理念に基づいた皆さんの宿運営が支持されている」と分析。その上で、自立と協働の精神で事業を推進していくことを確認した。

 
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