福井県、北陸新幹線金沢開業にらみ観光地づくりを加速


福井県観光連盟主催の商談(5月30日、東京で)

福井県観光連盟主催の商談(5月30日、東京で)

 福井県は、2015年春の北陸新幹線・金沢開業に向け、県観光連盟や市町村、観光事業者などと連携し、官民を挙げて観光地づくりを強化している。県立恐竜博物館(勝山市)やあわら温泉(あわら市)などでは、観光の魅力を高める事業をハード、ソフト両面で推進。現在入り込みの中心となっている関西・中京地区に加え、新幹線延伸を契機に関東地区からの集客拡大を目指す。

 福井県の県外観光客は、12年の統計を発地別構成比でみると、関西が42.8%、中京が27.4%で両地区の合計が70.2%。一方で関東地区は6.5%。北陸新幹線の金沢開業を生かし、関東地区の旅行者に福井県まで足を運んでもらうのが課題だ。

 県観光営業部新高速交通活用推進室の猪嶋宏記室長は「選んでもらえる地域にするため、観光の質のグレードアップを進めている。金沢開業までに十分な準備を進めると同時に、その先の延伸(金沢—敦賀)を見据えて観光地づくりを進めたい」と話す。

 金沢開業に向けて県内各地で事業が進む。年間50万人が来場する県立恐竜博物館の整備では、来年夏、現在の施設近くの恐竜化石の発掘現場に野外博物館をオープンする予定。恐竜の足跡化石の見学や化石の発掘体験ができる。博物館の展示では今年3月、全長15メートルのカマラサウルスの実物全身骨格化石の常設を始めた。

 来年開湯130周年を迎えるあわら温泉では、まち歩きを楽しんでもらえるよう景観整備を促進。今年度中に足湯施設を整備するほか、以降も通りを石畳にするなどの整備事業を進める予定。

 また、あわら温泉の旅館協同組合の女将会は、金沢開業を契機におもてなしのさらなる向上に努める。料理に合わせて地酒を提案しようと、メンバー13人全員が日本酒ソムリエの資格「利酒師」を5月に取得。研修のために県内の蔵元見学なども実施した。今後は各旅館で女将お勧めの「利き酒セット」を提供していく考えだ。

 あわら市や坂井市三国町では、あわら市観光協会などを中心に体験型の観光を促進する。3年目を迎える「うららん(温泉博覧会)」は、今年は9月14日〜10月14日の期間に開催。地域の文化や自然を生かした体験プログラムを集中的に展開する。

 二次交通やバスツアーも充実させる。あわら温泉を拠点に東尋坊(坂井市)、恐竜博物館、永平寺(永平寺町)などを結ぶバスを旅行シーズンに合わせて運行。小浜市では秘仏の特別公開に合わせたバスツアーの実証運行を9、10月の指定日に実施する。

 観光振興への取り組みは、観光商談会でも旅行会社などにアピールしている。5月30日、東京都内のホテルで開かれた商談会では、県観光連盟の前田健二副会長(あわら温泉・美松)が「首都圏の方には新幹線延伸で福井県がより身近になる。観光素材、おもてなしの磨き上げに取り組んでいるので、送客をお願いしたい」と呼びかけた。

 北陸新幹線・金沢開業後の15年10〜12月には、福井県、石川県、富山県への誘客を目指しJRグループの北陸デスティネーションキャンペーンの開催が決定している。

 また、高速道路では、小浜—鶴賀が来年度に開通予定で舞鶴若狭自動車道が全線開通し、県内の移動、関西・中京方面とのアクセスが向上。両地区からの誘客にも力を入れる。

福井県観光連盟主催の商談(5月30日、東京で)
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