文部科学省によると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は19日、フランス・パリで開いた会合で生物圏保存地域「エコパーク」について審議し、山梨、埼玉、長野、東京の4都県にまたがる甲武信(こぶし)ヶ岳周辺地域を新規登録することを決めた。国内では10カ所目のエコパークとなる。
甲武信周辺地域は甲武信ヶ岳、金峰山、雲取山などの日本百名山が連なる奥秩父主稜を中心とした山岳地帯で、総面積は約19万ヘクタール。荒川や多摩川、笛吹川、千曲川を含む主要な河川の水源地ともなっている。
多様な動植物が生息し、「特にチョウ類の希少種の宝庫」(文科省)とされる。
エコパークは、長期的に自然環境を保全する「核心地域」、核心地域を保護しつつ、エコツーリズムなどに利用する「緩衝地域」、人が暮らし、自然と調和した発展を目指す「移行地域」で構成。
甲武信の緩衝地域は7万858ヘクタール。主に秩父多摩甲斐国立公園の第2種、第3種特別地域、普通地域を設定しており、具体的には御岳昇仙峡や西沢渓谷、多摩川源流大学などがこれにあたる。
今回のエコパーク登録で、甲武信地域の知名度が向上、これによる観光振興などの効果が期待される。
山梨県の長崎幸太郎知事は登録を受け、「世界的な評価を受け観光客の増加も期待できる。エコツーリズムなどを通じて、理解が広がるよう取り組みを進める」と述べた。
なお、既に登録されている国内の9地域は次の通り。
志賀高原(長野、群馬)▽白山(富山、石川、福井、岐阜)▽大台ヶ原・大峯山・大杉谷(奈良、三重)▽屋久島・口永良部島(鹿児島)▽綾(宮崎)▽只見(福島)▽南アルプス(山梨、長野、静岡)▽祖母・傾・大崩(宮崎、大分)▽みなかみ(群馬、新潟)
ユネスコエコパークの「核心地域」に含まれる甲武信ヶ岳