帝国データバンクはこのほど、消費税率引き上げに対する企業の意識調査を行った。それによると、企業の67%が引き上げによる業績への悪影響を懸念しており、8割超が国内消費が縮小すると認識している。税率引き上げ分を価格に転嫁できるとする企業は31%にとどまり、全く転嫁できないとする企業は1割超あった。
調査は7月19〜31日、全国企業2万3099社に実施。1万637社から有効回答を得た。
消費税率が引き上げられた場合、自社の業績にどのような影響を与えるかを聞いたところ、「悪影響」とする企業が55.5%で最多となった。また「かなり悪影響」が11.7%あり、この2つを合わせると67.1%に達した。約3社に2社が消費税率引き上げで業績に悪影響があると考えている。
一方、「影響はない」は15.9%と、1割台にとどまった。
「好影響」は1.2%、「かなり好影響」は0.8%と、ごく少数となっている。
「悪影響」を業界別にみると、「小売」が最も高く86.6%が回答。「農・林・水産」も79.5%と高い数字になった。「サービス」は65.8%だった。
消費税率引き上げ後の国内消費動向は、「やや縮小する」と回答した企業が全体の56.1%。「大幅に縮小する」とした企業は29.9%で、この2つを合わせると86.1%と、9割近くにのぼる。
「拡大する」は1.0%、「影響はない」は4.4%にとどまった。
消費税率が10%に引き上げられたあと、自社でどの程度、引き上げ分を販売価格に転嫁できるか尋ねたところ、「すべて転嫁できる」とした企業は31.1%にとどまった。以下、「8割程度」15.9%、「5割程度」12.8%、「3割程度」5.4%。「全く転嫁できない」は10.1%あった。
税率引き上げに関し、回答企業から次のような意見が挙がっている。
「預かり税の支払いが単純に倍額となり大変。支払いができず、差し押さえ廃業の事態がさらに増えるはず」
「これまでは表示売価に含めていたが、増税を機に外税表示にして、実質値上げをせざるを得ない」
「本当に実施するなら、消費税の納入方法の分割化等の対策が必要」