政府は8月17日、2013年度予算の概算要求基準を閣議決定した。東日本大震災からの復興、新たな社会経済構造への転換を目指す「日本再生戦略」を踏まえ、復興対策、成長分野に予算を重点配分。観光分野は日本再生戦略の11分野の1つで、「特別重点要求」に次ぐ「重点要求」が可能な分野。ただ、財政健全化に向けて各省庁の政策経費は今年度当初比で10%の削減が求められ、観光庁予算も厳しい予算編成が見込まれる。
概算要求基準は、政府が翌年度予算の配分や節減の方針を各省庁に示したもの。各省庁が政策経費や人件費を検討し、財務省に要求額を提出する。今年の提出期限は7日となっている。
日本再生戦略を踏まえ、観光分野は他分野とともに重点要求が可能で、各省庁が削減した予算額の1.5倍まで要求できる。しかし、重点化の度合いは、特別重点要求の対象となっているグリーン(エネルギー、環境)分野の4倍まで、ライフ(健康、医療)分野と農林漁業分野の2倍までに比べると弱い。
また、震災からの復興にかかる経費は、復興特別会計として予算を要求できる。
財政健全化の目標の達成に向けては、国債費を除いた「歳出の大枠」を今年度に引き続き上限71兆円とする。概算要求基準は、「経済成長と財政健全化を車の両輪」として各種施策を推進するとしている。
成長戦略に観光立国 外客誘致や休暇改革
政府の日本再生戦略
政府は7月31日、経済、社会の進むべき方向性を示した「日本再生戦略」を閣議決定した。東日本大震災や原発事故からの復興を踏まえ、2010年6月に策定した「新成長戦略」を再編したもの。成長戦略として「観光立国戦略」を含む11分野を挙げた。
観光立国戦略の主な内容は次の通り。
【2020年までの目標】訪日外国人旅行者を20年初めまでに2500万人、将来的には3千万人にする(2500万人による経済波及効果約10兆円、新規雇用56万人)▽新規需要の喚起により航空需要を底上げし、国内外航空旅客輸送に占めるLCC(格安航空会社)の割合を欧米並み(2〜3割程度)にする▽休暇改革により国内観光需要を創出する(創出効果約1兆円)
【主な施策】(1)訪日外国人旅行者の増大に向けた取り組みと受け入れ環境水準の向上=オールジャパンの訪日プロモーション、東南アジアをはじめとする新興国からの訪日客に対する査証発給要件の見直し、オープンスカイ(航空自由化)の拡大、LCCの就航促進など(2)国内外から選好される魅力ある観光地域づくり=地域の取り組みへの評価に応じた戦略的な観光地域づくりの促進、ニューツーリズムの振興、MICE(国際会議など)分野の国際競争力の強化など(3)国内観光需要の喚起=学校休業日の柔軟な設定や連続休暇の設定といった休暇取得の分散化の検討など休暇改革の推進、LCCの就航促進など