書評「イタリア観光再生計画の現在」

  • 2009年6月13日

 イタリアの文化財大臣だった著者は、「イタリアの美」の複雑なシステムを管理し、それを経済的、社会的な成長の原動力にしたいという。イタリアの美とは、歴史、芸術、領土および景観、文化産業、訪れたいと思われ続ける理由である伝統。タイトルで示した、文化、景観、ツーリズムの3分野は、イタリアの美の「ニューディール政策」の中心にあるべき、最良の資源と主張する。

 ツーリズムはイタリアにとって「確固たる長い伝統を持つ天職である」と言い切る。確かに、05年の国別ブランド力指数でイタリアは、旅行者の目から見て最も魅力的な旅行先だ。

 だが、そのブランド力は訪問地として選ばれることには直結していない。WTO(国際観光機関)による04年の観光客到着数は3710万人。フランス、スペイン、アメリカ、そして、追い越された中国に次いで5位だ。首位を維持していた30年前と比べて20%も減少、00年と比べて約500万人減少している。

 イタリアのツーリズムの問題点は、国家産業戦略と政策が欠如していること。インフラに関しては、港湾、空港、鉄道、道路網の設備やサービスの供給に差があること、などと指摘している。

 八木真紀子訳。価格(税別)は1800円。発行はシーライトパブリッシング。

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