旅政連が緊急支部長会議、消費増税などの対応協議


 全国旅館政治連盟(佐藤信幸理事長=全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会会長)は17日、東京の都市センターホテルで緊急支部長会議を開き、旅館・ホテル業界が抱える三つの問題を協議した。今年10月から認められる消費税の外税表示については、業界挙げての実施に向けて都道府県旅館ホテル組合や支部ごとに勉強会を開くことを確認。建物に係る固定資産評価の見直しについては、評価額の下限となるまでの年数を従来の50年から36年に短縮するよう関係各所に要望する。旅館・ホテルに耐震改修を促す改正耐震改修促進法は、耐震診断と耐震改修にかかる負担を軽減するため、各都道府県旅館ホテル組合が進めている県知事らへの陳情を今後も継続することを確認した。

 消費税の外税表示については、全旅連税制委員会から(1)消費税の価格転嫁がしやすくなる(2)総額表示を継続したいエージェントと表示上の料金差が大きくなり、料金を比較するサイト等でも自社ホームページが優位になる(3)お客さまが支払う価格が明確になり、価格の信頼性が高まる(4)実質収入が大きく異なる—と四つのメリットを強調。

 特に収入面については、消費税を価格に転嫁しなかった場合、転嫁した場合に比べて7.4%の収入減になると試算(宿泊料1万円、エージェント手数料15%、消費税率8%の場合)。営業に与える影響が大きいとして、外税表示による消費税の価格転嫁を業界挙げて推進することを確認した。

 佐藤理事長は「(外税表示を認める)法律を知らない組合員も多いと思う。今後、各県や支部単位で勉強会を開いてもらい、外税化を進めて組合員の収益が下がらないようにしてほしい」と述べた。

 10月1日に施行される消費税転嫁対策特別措置法では、同日から2017年3月31日までの期間限定で消費税の外税表示が認められる。全旅連では法律が切れる2017年4月1日以降も外税表示ができるよう関係部署に要望する。
 旅館・ホテルの建物に係る固定資産評価は、2015年度に建物の使用実態に即した形で見直すことが2012年度税制改正大綱で決定している。

 全旅連などでは適正な評価基準の策定に向けて傘下の旅館・ホテルに建物の維持、補修に関するアンケートを実施。鉄筋コンクリート造りの場合、資産評価額が下限(建築当初の2割)となるまでの経過年数を現行の50年から36年とすることが妥当だとした。

 経過年数が短縮することにより、資産評価額が目減りするペースが速くなり、旅館・ホテルに係る固定資産税の負担が軽減される。

 ただ、総務省の中で48年が妥当だとする意見があり、今後は各都道府県旅館ホテル組合などで地元選出の国会議員らに旅館・ホテルの実情に即した制度にするよう陳情する方針だ。

 延べ床面積5千平方メートル以上で、1981年以前の旧耐震基準で建築された旅館・ホテルに2015年末までの耐震診断を義務付け、診断結果を公表する改正耐震改修促進法については、県や市町村など地方自治体が耐震診断や耐震改修にかかる費用を十分に補助するよう、各都道府県旅館・ホテル組合がそれぞれの首長などに陳情している。

 会議では、各都道府県の陳情の状況を報告。現在までに、知事に直接面会できた組合が15、担当課を通じて知事に要望した組合が16、今後知事への面会予定がある組合が9。和歌山県などで補助に関わる補正予算を審議するなど、陳情の成果が出てきている。

 今後も各都道府県で陳情を継続し、組合員旅館・ホテルの負担をできるだけ軽減する方針だ。

 耐震改修を行った施設の固定資産税を半減する方針を政府が固めたとする一部報道については、「われわれの本来の要望(経過年数の短縮)が反故にされることがないようにしてもらいたい」(佐藤理事長)と述べた。

 
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