宿屋塾(近藤寛和社長)は5日、第118回宿屋塾セミナー「ホテル旅館のインバウンド・マーケティング〜たったこれだけですごい効果が 外国人客の集客ともてなしのチェックポイント」を東京都新宿区の東京YMCA国際ホテル専門学校で開いた。
講師はインバウンドWEBプロモーション会社、オーエイチの有馬孝行チーフディレクターと、観光経済新聞で「おもてなしの英会話」の連載を担当しているサービス産業向け英会話トレーニング会社、イングリッシュOKのジョン・レイナー氏が務めた。
レイナー氏は外国人視点から見た優れた外国語ホームページのポイントとして、(1)トップページにインパクトがあること(2)フラッシュや動画などを使わず各ページの読み込みスピードが速いこと(3)簡潔な文章で旅館ホテルのアピールポイントが書かれていること(4)全ページに予約画面への導線か予約用のボックス(モジュール)を配置していること──の4点を挙げた。
また、オーエイチがインバウンド集客をコンサルティングし成功している旅館、箱根湯本温泉・仙景の女将、津田まり子さんが、同館での具体的な取り組みについて講演した。仙景は和室15部屋、洋室10部屋の小規模旅館。昨年1年間に受け入れた外国人宿泊客は全宿泊客の22.4%に達する。
海外エージェントとは特に契約しておらず、インバウンド客のほとんどは2人単位の個人客。4年前に英語版ホームページをリニューアルし、海外誘客への取り組みを本格化した。評判が評判を呼び外国人客比率がみるみる増加。「インターネットと外国人クチコミの威力を思い知らされている」(津田さん)という。
日本人宿泊客の予約の間際化が進行する中で「前広に予約が入る外国人宿泊客は、従業員の勤務シフトや食材の仕入れの確定でも大変助かっている。連泊も多く、洋室に1週間滞在するケースも珍しくない」と話した。
外国語対応については「英語ができるスタッフは1人だけだが不自由はしていない。従業員には日本人客に対する接客と同様、親切に接することを常に心がけるようにとだけ話している」と述べた。また「旅館は日本文化を継承している数少ない施設。外国人に日本の伝統文化を体験してもらうことに喜びを感じている」と語った。
仙景の津田さん