帝国データバンク(TDB)によると、ローマ風呂で有名なホテル大野屋を経営する大野屋本店(熱海市、代表・大野茂正氏、資本金1億円、従業員115人)は19日、静岡地裁沼津支部へ民事再生法の適用を申請、同日保全命令を受けた。負債は約21億5千万円、うち金融債務は約18億円。
同社は1934年に温泉旅館として創業、65年4月に法人改組した。客室数174室、収容人員1040人のホテル大野屋を経営。熱海温泉では最大手クラスにランクされていた。
80年2月には総工費35億円を投じて本館を増改築。87年7月には20億円を投じて旧館を取り壊して新築し、収容力拡大を図った。しかし、バブル崩壊後の景気低迷で客足が落ち込み、04年12月期の年収入高は約9億9千万円と初めて10億円を割り込んだ。この間、ホテル設備の大半を銀行借り入れに依存してきたことに加えて、収入減が続く中、毎期欠損計上を余儀なくされ、債務超過のもとで厳しい経営を強いられてきた。
その後も業績は好転せず、資金繰りは多忙化。「金融機関とは弁済条件などの交渉を行ってきたが不調に終わり、事業を継続するために民事再生法の適用申請を選択した」とTDB。