住民限定宿泊キャンペーン、42道府県で実施 域内の観光需要創出へ


「Go To トラベルキャンペーン」開始前に

 県境をまたぐ移動の自粛の全面的な解除、政府の「Go To Travel(トラベル)キャンペーン」の実施を前に、全国の自治体が域内の観光需要創出に向けた県民や域内住民限定のキャンペーンを行っている。観光経済新聞社の調べによると、47都道府県のうち、42道府県の自治体が既に実施、または実施を予定している。

 山形県が行っている「県民泊まって応援キャンペーン」は、県内施設の1万円以上の宿泊に利用できる5千円分の割引クーポン、合計3万枚を抽選で県民に発行するもの。5月15日から31日まで申し込みを受け付けたところ、2万9159件、7万7959人分(枚)の応募があった。「予想より応募が多く、反響が大きかった」と県観光立県推進課。第2弾として、県内の旅行会社が販売する宿泊プランの購買に利用できる割引クーポン2万枚も抽選で発行。6月15日から28日まで申し込みを受け付けている。

 新潟県も「『つなぐ、にいがた。』新潟県民宿泊キャンペーン」の名称で、1万円以上の県内施設の宿泊に最大5千円を割り引くキャンペーンをこのほど始めた。予算規模は4億円で、県民約8万人分の宿泊を割り引き。7月31日チェックアウト分までの宿泊に対応する。利用者はOTAや日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)会員の県内旅行会社などに申し込む。

 関西と九州の自治体は域内の住民に向けた誘客キャンペーンに取り組む。京都府は関西2府4県の住民を対象に、府内(京都市以外)の5千円以上の宿泊に割引やプレゼントなど2500円分の特典を付ける「『もうひとつの京都』お宿で魅力再発見キャンペーン」を実施。予算規模は1億円で、7月中の宿泊に対応する。

 京都市も市内宿泊施設の利用を促進する市民向けキャンペーンを6月19日から9月下旬までの3カ月間行う。参画旅館・ホテルを16日まで募集したところ、数百軒の申し込みがあり、「旅館・ホテルからも高い関心をいただいている」と市の担当者。

 福岡県が行う「『福岡の魅力再発見』九州キャンペーン」は、九州7県の住民が対象。県内の旅館・ホテルで使える宿泊券額面5千円分を2500円、1万円分を5千円で、九州内のコンビニエンスストアで販売する。予算は約3億円で、7月31日まで販売。利用は8月31日チェックアウト分までとなる。このほかOTAが販売する宿泊プラン、旅行会社が販売する旅行商品の購買も助成する。

 県境をまたぐ旅行の自粛は6月19日に解禁されるが、国による「Go To トラベルキャンペーン」は事務局を担う事業者の公募見直しの影響で当初予定の7月下旬から開始が遅れる予定だ。

 宿泊業界はGo Toキャンペーン開始前の観光と宿泊需要が創出できると、各自治体が取り組むこれらキャンペーンに期待を寄せる。全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は47都道府県の旅館ホテル組合理事長に向けて、県によるキャンペーンの実施を知事らに促すよう5月から呼び掛けている。

 
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