寺岡伸悟さん
今年4月、京都産業大学文化学部に新設された文化観光学科の学科主任に就いた。京都大学で地域社会学を学び、博士号を取得。熊本大学を皮切りに、甲南女子大学や奈良女子大学などで教鞭(きょうべん)をとってきた。京都生活は学生時代以来だ。
地方創生や地域活性化、地域文化の情報発信を中心に研究を進め、長年学生たちと共に農山村でのフィールドワークに数多く取り組む。地域づくりに関わる中で、「観光」との接点が増え、観光社会学の教科書などを手がけるようになった。
奈良では地元の旅行会社などと連携して観光ルートづくりなども行った。大学での学びをきっかけに、観光に関するサークルを立ち上げる学生が出てきたり、地域振興に関わる仕事に就く学生が出てきたりすることに、観光を教える面白さを感じているという。「人や組織をつなぎ、楽しさを生み出せるのが観光の醍醐味(だいごみ)だ。今の時代、どんな仕事でも求められているのは『つなぐ力』。そこに観光を学ぶ意義がある」。
「シカのいない地域に住む自分が想像できない」と、今も奈良から1時間かけて電車通勤する。実は通勤だけでは物足りない筋金入りの「乗り鉄」。電車の中から流れる風景を見るのが好きで、電車でどこまでも行ってしまうほどだ。「仕事に息詰まると電車に乗りたくなる(笑い)」。京都も「嵐電」などさまざまな電車が走る町。すでに帰路とは逆向きの叡山電鉄で小さな旅を楽しんだ。
新学科は「文化」を名前に冠する。昨今のオーバーツーリズムなども、文化を基軸にした、量から質への転換、分散化によって解決できると考える。「学生たちが持つ『観光』のイメージはまだまだ狭い。奥深い文化を持つ京都で、まずは広い視野を持って観光の楽しさ、幅広さを学んでいってほしい」。奈良県出身。61歳。
【小林茉莉】

寺岡伸悟さん




