マリオット、IHGと提携 HMIホテルグループ 代表取締役社長 比良竜虎氏に聞く


HMIホテルグループ 代表取締役社長 比良竜虎氏

地方にインバウンド誘客 日本とインドの架け橋に

 ――HMIホテルグループについて教えてください。

 「半世紀以上にわたり、23都道府県において7ブランド、44軒のホテル・旅館を所有、経営している。社員数は4826人で、グループ売上高は約750億円、年間利用客数は約1370万人。つま恋リゾート彩の郷(静岡)、リザンシーパーク谷茶ベイ(沖縄)もグループホテルとなっている」

 「23年2月には、インド共和国・UP州政府との間で、ホテル開発事業に関する基本合意をした。(30のチェーンホテルの開発および既存の国営ホテル事業の取得を実施、全体で約1300億円規模の投資支出と約1万人の雇用創出も見込まれている)」

 ――24年4月17日にマリオット・インターナショナル(米国)と、8月28日にIHGホテルズ&リゾーツ(英国)と提携されました。

 「HMIホテルグループの7軒のホテルを『マリオットホテル』と『コートヤード・バイ・マリオット』に、3軒のホテルを『ANAクラウンプラザホテル』にリブランドする。開業の時期は25年秋から26年上半期を予定している」

 ――具体的には。

 「延べ床面積約20万平方メートル・総客室2千761室の計画となる。マリオットブランドとして、クラウンパレスの内7つを『浜松マリオットホテル』、『京都マリオットホテル』、『神戸マリオットホテル』、『沖縄マリオット・リザン・リゾート&スパ』、『コートヤード・バイ・マリオット神戸』、『コートヤード・バイ・マリオット小倉』、『コートヤード・バイ・マリオット北九州』にリブランドする。また、IHGブランドとして『ANAクラウンプラザ高知』、『ANAクラウンプラザ知立』、『ANAクラウンプラザ浜松』にそれぞれリブランドする」

 ――グローバルホテルブランドとの提携の理由は。

 「リブランドする10軒のホテルはいずれもフルサービス型の大規模ホテルで、マリオットとIHGのブランドが生かせる規模のプロパティだ。日本での地方誘客を強化し、地域経済の活性化に貢献したい」

 ――具体的な提携メリットは何ですか。

 「グローバルなマーケティングの展開。世界200カ国に同時に商品をリアルタイムで提供・予約完結できる予約販売ネットワークの共有ができることになる」

 ――契約形態は。

 「戦略的マネージメントに近い契約で、人の派遣を含め、世界のメニューの構成や調理方法、フェアーの実施等を戦略的に取り組む」

 ――どのホテルをどのブランドにするという判断の基準は何だったのですか。

 「グローバルブランドにふさわしいフルサービス型のプロパティであること(大規模施設であり天井高や客室の広さ等細部含む)。IHGについては、国内運営会社がIHG・ANAホテルズグループジャパンであり、ANA利用のお客様に加え、空港への利便性等も加味し、3つのホテルを決定した」

 ――地方部のフルサービスホテルで、インバウンド誘客で勝負していく理由は。

 「日本人宿泊客の滞在日数は短い。一方、インバウンド客、中でもビジネス客の場合、7~10日間のロングステイをしていただけることが多い。またグローバルホテルブランドの会員特性を見ると、上位ステータス会員ほどホテル館内での消費額が高い傾向がある」

 ――比良社長はインドのご出身で、長年にわたって日本とインドの経済交流、観光交流にご尽力されてきた。

 「家族が日本に来てから約100年、日印間の経済交流・文化交流等を通じて常に両国の発展を望んでいる」

 「今、アジア諸国の目覚ましい発展により、中間所得者層が増加。親日国インドにおいても約6億人に達する。国策である観光立国=インバウンド市場の強化に直結している」

ひら・りゅうこ氏 1948年インド生まれ、1976年日本に帰化。(公社)在日インド商工協会会長、(公財)日印協会理事。1970年ニッポンレンタカーの石川浩三氏と「サンルートホテルシステム」に共同出資。1989年東北サンルート社長就任。2000年サンルートは統合され、持ち株をJTBに譲渡。22年1月インド共和国の民間功労者に叙勲される最高位勲章、パドマ・シュリ勲章を綬章。22年6月、陸運及び観光関係内閣府沖縄総合事務局長賞、24年4月観光関係功労者 国土交通大臣表彰を受賞。24年2月、経団連入会。在日インド投資家として最大の規模の投資家。

【聞き手・kankokeizai.com編集長 江口英一】

 
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