
長崎県雲仙温泉の2旅館は11月22日、ベトナム・ハノイで外国人技能実習生の採用面接を行った=写真。日本の人口減少やインバウンド客のさらなる拡大で外国人材の重要性が高まっていることなどを受けて実施。4人の採用を決めた。今後半年間の研修の後、来日し、3年間の実習に入る予定だ。
面接を行ったのは、雲仙福田屋(福田努代表)と雲仙いわき旅館(石動隆祥代表)の2館。外国人技能実習生の監理団体である大地事業協同組合(大阪府茨木市、細田喜代司理事長)の仲介で、現地送り出し機関「LABCO」の学生8人と直接現地で面接するに至った。
面接では雲仙の歴史や気候、地理的特徴のほか、日本旅館の勤務形態やもてなしについて日本側が説明。その後個人面接を経て、2館それぞれ2人の採用が決まった。
雲仙温泉では現在、雲仙観光局を中心に人材育成やエコ対応などの課題解決に向けたワークショップを継続的に実施。外国人材の雇用についても関係機関から説明を受けるなど取り組みを始めているが、「他の温泉地に比べると取り組みは遅れている」と福田代表は話す。
雲仙福田屋の場合、これまでに高度人材や留学生を数人雇用したことがあるが、技能実習生の採用は初めて。同館は「長崎県SDGs登録制度」の登録事業者としてダイバーシティ経営に取り組んでおり、また技能実習生の受け入れが同館の将来にプラスに働くとして今回の面接実施を決めた。
同館では今後来日までに月1回程度、実習生とのリモート面談などを通して相互理解などを図っていく予定。福田代表は「10代の未来ある若者が3年間当館で実習することは、雲仙や旅館文化への理解を深めてもらうだけでなく、彼らが母国に帰ってからの将来設計に関わる技術の習得につながることであり、素晴らしい社会貢献になる。外国人が働くことはチーム作りの良いアクセントにもなるので非常に期待している」と語った。