ファミリーにより所有、経営される企業「ファミリービジネス」の永続性を考えるパネルディスカッション(日本ファミリービジネスアドバイザー協会など主催)が11月18日、東京都内で行われ、宮城県鎌先温泉(白石市)の旅館「湯主一條」の20代目女将、一條千賀子さんがパネリストとして参加した。ファミリービジネスとしての旅館における女性の役割について一條さんは、子育て(後継者育成)と仕事の両面を指摘。「子育てにはもっと家族の協力を」「女性の意見に耳を傾ければ業界はよくなる」と提言した。
湯主一條は創業約600年の老舗。一條家の直系男子が代々経営を受け継ぎ、現在が20代目に当たる。かつては経営不振にあったが、現経営者に世代交代してから客室数を72室から24室に減らし、単価をアップさせることで売り上げを2・2倍に増やすなど業績を向上させた。
一條さんは「後継者ができることは仕事をする人たちの意欲が高まり、企業を永続させる力の源になる」と指摘。「子育てと仕事を同時並行で行ったが、夫の協力なくしてはできなかった」と、子育て面での家族の協力の必要性を説いた。
「女性は今まで求められる役割を果たすことに一生懸命だった。しかし今では義務を果たしながらも、自分のやりたいことを精いっぱいやっている人が増えている」という会場からの声に対し、「女性は男性にない視点を持ち合わせている。女性の意見を聞く寛容性を持てば、もっと業界や個々の旅館はよくなる。女性の皆さんがんばって」と同業者にエールを送った。