米国の旅行調査会社であるフォーカスライトの日本代表、牛場春夫氏は4日、東京都内で開かれたOTAの国際カンファレンス「WiT JAPAN&NORTH ASIA」に登壇し、「Japan Online Travel Overview」と題して、日本のオンライン旅行予約の現況などについて講演した。
牛場氏は「訪日外客数の約3分の2に当たる2千万人が日本の宿泊施設をオンラインで予約している。そのほとんどは国内OTAではなく、外資OTA経由の予約だ」と指摘。また日本の旅行市場におけるオンライン予約比率について「2018年は41%だった。19年は43%、20年は44%になるだろう」と予測した。その上で「実はオンライン予約率は、APAC(アジア太平洋地域)では45%を、欧米では50%を既に超えている」と話した。
日本のオンライン予約比率が低い理由について牛場氏は、「日本は鉄道大国だが、鉄道のオンライン予約比率が26%に過ぎないことが原因。鉄道を除いた宿泊・航空では世界のオンライン予約比率と同等レベルになる。航空に関しては、世界平均を上回っている」と説明した。
さらに、2018年の日本の全旅行市場におけるセグメント別比率が「宿泊40%、鉄道32%、航空25%、レンタカー3%」なのに対して、18年のオンライン旅行市場比率は「宿泊43%、鉄道21%、航空34%、レンタカー2%」と述べ、日本のオンライン旅行予約の80%弱が宿泊と航空で占められていることを示した。
航空については「国内線と国際線を合わせた2018年のオンライン予約比率は57%となっている。年間1億人を運ぶ日本の国内線は、米国、中国、インドに次ぐ世界第4位の市場で、オンライン予約比率は70%。ただし、国内線予約の25%はオンライン予約になじみにくい団体予約が占めているため、実質的には国内線はオンライン予約比率100%を達成していると言っても過言ではない」と解説した。
また、宿泊のオンライン予約比率について「全体で40%だが、内訳をみるとビジネスホテルは70%超、旅館は30%弱とばらつきがある」と説明した。
鉄道のオンライン予約比率が低い要因については、私見であると前置きした上で「地域独占事業体のため、デジタルマーケティングに対するインセンティブが働きにくい。これまではIT投資の戦略的優先順位は駅の自動改札などハード寄りの方が高かったのではないか。ただチケットレスアプリの浸透に合わせて、オンライン予約比率は今後上がってくるだろう」と述べた。
牛場氏による講演