【VOICE】北海道・弟子屈町の取り組み 一般社団法人 摩周湖観光協会 会長 渡辺隆幸 氏


渡辺氏

持続可能な観光地域づくりへ

 北海道の東部に位置する弟子屈町は、人口およそ6700人。東京23区よりも広い町域は、その65%が阿寒摩周国立公園に指定されています。日本一透明な摩周湖や日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖をはじめ、今なお噴気をあげる硫黄山(アトサヌプリ)、カヌーイストの聖地とうたわれる釧路川などを擁し、豊かな自然に恵まれた、観光と農業を基幹産業とするまちです。

 弟子屈町では15年以上前から、持続可能な観光地域づくりに取り組んできました。観光地域づくりとは、住民自らが地域の日常性と結びついた観光資源を創り出す、地域づくり型の観光政策です。弟子屈町での観光地域づくりをけん引してきたのは、「てしかがえこまち推進協議会」という住民主体のまちづくり協議会。「誰もが自慢し、誰もが誇れるまち」をビジョンに掲げ、およそ70名の町民がさまざまな活動を行ってきました。

 協議会の専門部会の一つである「エコツーリズム推進部会」が進めてきたのは、硫黄山でのエコツアー開発です。ルートを引くところから、関係省庁との折衝、仕組みの整備、ガイドの育成まで官民一体となって取り組みを進めた一大プロジェクトです。硫黄山の貴重な自然を保護するため、エコツーリズム推進法に基づく立ち入り制限を行った上で認定ガイド制度を導入していることが特徴で、2020年より「アトサヌプリトレッキングツアー」として販売しています。これらの取り組みは23年2月に環境大臣賞である「エコツーリズム大賞」を受賞しました。

 また弟子屈町では、22年度より町の観光政策の柱となる「弟子屈町観光振興計画」が施行されています。その目的は、「弟子屈町らしい持続可能な観光」の指針を共有し、実現に向けた取り組みを促進すること。そのために掲げたスローガンが、「行きたいまちへ、生きたいまちへ。」。まずは行きたい、そして生きたいまちになるために、住民自らがふだんの暮らしの中にある豊かさや魅力を伝え、守ることと遺すことで次世代にその価値をつないでいくことが大切としています。持続可能な観光地の国際基準であるGSTCを導入し、「今日からできる町民アクション」を各施策に掲載していることも特徴です。

 てしかがえこまち推進協議会の事務局を務め、アトサヌプリトレッキングツアーの主催団体でもある当協会も、引き続き弟子屈町観光振興計画に沿って、地域住民の皆さんと一体となった観光地域づくりを推進していければと考えております。

 

渡辺氏

 
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