【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 727】利益確保のためのコスト削減法(3) 青木康弘


 前回に引き続き、宿泊業における効果的な経費削減のコツを紹介したい。補助金を活用して積極的に設備投資を行ったものの、見込んだ収益が得られず、金融機関にリスケジュールを申し込む施設が今年に入って目立つようになってきている。コスト管理を適切に行うことで、経営の安定化を図り、将来的なリスクにも対応できる強固な財務基盤を築くことが可能となる。

 料飲原価や人件費と並んで水道光熱費も大きなコスト負担の一つである。建物の築年数が長かったり、ロビーやラウンジ、廊下などのパブリックスペースや売店、大浴場などの付属施設が大きかったりすると費用がかさむ。毎月支払っている水道光熱費の額を当たり前のものと思わずに削減への取り組みを行うことで、利益体質への転換が可能となる。

 効果的なコスト削減策として、省エネ機器の導入が挙げられる。最近では、エネルギー効率が高いボイラーや空調、二重サッシ、蓄電池が広く普及しており、これらを導入することで、エネルギー使用量の削減が期待できる。導入には初期費用がかかるが、長期的には光熱費の大幅な削減が期待できる。導入前後のエネルギー使用量シミュレーションを行い、投資回収年数を算出すれば、設備投資にあたって金融機関の協力も得やすいだろう。政府や地方自治体の補助金も不定期であるが募集されているので活用したい。

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