前回に引き続き、現在の高収益を維持し、さらなる発展を目指すために取り組むべきことを紹介しよう。旅館・ホテル業界が、コロナ前の業績を超えて急回復しているのは大変喜ばしいことである。しかし、気の緩みは禁物である。一度成功を収めたからといって油断してはならず、新たな課題が突如として現れる可能性がある。
(2)インバウンド集客に過度に依存しない
円安を追い風にして、訪日外国人の急増により繁盛する旅館・ホテルは少なくない。この傾向は、特に都市部や著名な観光地で顕著である。中にはインバウンド専用と言っても良いほど、インバウンド利用比率が高い施設も存在する。訪日外国人の増加は観光地に多くの恩恵をもたらしているが、注力しすぎることには大きなリスクも伴う。
特に注意が必要なのは、中規模の旅館・ホテルである。大規模施設と異なり、エージェントからの安定した送客チャネルを構築することが難しく、また、小規模施設のように特定の客層に特化して客室稼働率を高めることも難しい。インバウンドに過度に依存すると、環境が変化した際に売り上げが急落する恐れがある。
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