国連のA・グテーレス事務総長は今年7月の世界の平均気温が観測史上最高となったことを問題視して「地球は沸騰化(boiling)の時代に入った」という警告を発し、世界各国に温室効果ガスの排出削減や気候変動への取り組みの強化を要請した。気候変動によってすでに世界的に深刻な火事、猛暑、干ばつ、洪水などが頻発しており、さまざまな観光事業に大きな影響が生じている。
カナダでは今年に入って5800件もの山火事が発生し、焼失面積は日本の国土の約37%に相当する過去最悪の事態になっている。高い気温と干ばつに加えて、落雷の増加で山火事が頻発している。カナダの山火事の煙害は米国にまで及んでいる。7月下旬にはギリシャのロードス島でも山火事が発生し、住民やバカンス客など約2万人が避難を強いられた。また、ハワイのマウイ島でも8月に大規模な山火事が発生し、大きな被害が生じている。マウイ島の総生産の約4割は観光産業が生み出しており、早い観光再開が期待されているが復旧は容易ではない。
欧州のスロベニアでは8月上旬に記録的な豪雨に襲われ、洪水や土砂崩れによって、国土の3分の2が大きな被害を受けている。オーストリアでは記録的な猛暑に襲われ、夏スキーが楽しめるアルプスの氷河がかなりの規模で減少しており、50年後には氷河が消失するかもしれないと予測されている。
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