【焦点課題】WILLER 代表取締役  村瀬茂高 氏に聞く

  • 2020年11月17日

村瀬社長

コロナ禍で挑む世界戦略

安心と品ぞろえの二軸に注力 交通課題をアプリの中で解決

 ――足元の動向は。

 「人の移動はコロナ禍で言うまでもなく減っている。4月4日から5月末まで安全を第一に運休し、6月から運行を再開した。生活、通勤・通学で使う短距離から利用者が戻りつつあり、距離が長いほど戻りが遅い。高速バスでは、テーマパークやコンサートなどの利用者が多く、順番は最後になる。Go Toトラベルキャンペーン以降、旅行に行く機運は上がってきている。感染状況次第だが、今後拡大するイベント需要なども取り込みながら、来年の8月ぐらいには新型コロナ前の8、9割まで戻したい」

 ――Go Toの効果は。

 「象徴的な価格の割引もあるが、『外に出ていいんだ』という気持ちの変化も大きい。一部のテーマパーク商品など、昨対を超えるものも出てきたが、一方で移動の使われ方も大きく変わっている。移動を必要としている人々のニーズに合った商品作り、不安を払拭(ふっしょく)する安心な移動を提供していく」

 ――主な利用者層は。

 「全体的に若い人が多いが、利用目的によって世代の割合は異なる。利用者の動きを見ながら必要とされている移動を見極め、求められている需要を掘り起こす供給を行うことが大切だ。以前に戻すというより、新しいものをどれだけ見つけるかがすごく重要になる」

 ――新しい生活様式への対応は。

 「利用者の利用の仕方を見ると、新型コロナ以前と違う動きをしている。われわれが新しい生活様式を作って提案するというより、利用者が考える新しい生活様式に対応する商品を提供していく」

 ――利用者からの衛生管理への要望はないか。

 「目的で異なる。1週間といった長期間時間を共にするような場合であれば利用者のPCR検査も求められると思うが、短時間の利用ではそこまでは求められていない。何を望んでいるかをしっかりマーケティングし、適切な対応策を提示する必要がある。9月には、バス会社57社が集まって『高速バス安心推進コンソーシアム』を創設した。不安点や要望など、利用者の声を聞き出して共有する仕組みを作りながら、行きたいと思った時に安心して移動できる環境を作り上げる。安心と、商品など品ぞろえの二軸を中心に注力していく」

 ――MaaSに力を入れているが成果は。

 「昨年8月にMaaSアプリをリリースし、マルチモーダルな交通の検索、予約、決済を可能に。今年2月にはQR決済システムの導入によって非予約の鉄道や路線バスなどの決済も可能にした。今後、台湾やASEANでも同アプリを利用できるように準備している。ASEANでは既に自動運転の商業化運行、タクシー配車アプリの提供、都市間バスとオンデマンドシャトルを組み合わせたドアtoドアのサービスを提供してる。日本では観光におけるMaaSはコロナ禍で現状は休止に近い状態だ。コロナ禍では、テレワークなど在宅の人が増え、自宅から生活圏内2キロの世界での移動が必要な交通だ。家からのワンマイル移動を変える新しい交通サービスを提供していきたい。これができると、近所の新たな発見やビジネスにつながり、街自体の活性化にもつながる。来年初からは生活圏内のMaaSの実証実験を始める。観光におけるMaaSは、人がさらに動きだすと想定する来年7月ごろからやっていきたい。今ある交通を全部つなぎ、予約できるようにすることがMaaSではない。ニーズがあるが足りていない移動を補完する新しい移動サービスが加わり、行きたい時に行きたいところへ行けるようになるのがMaaSだと思っている」

 ――海外展開しているMaaSとの連携は。

 「シンガポール、ベトナム、台湾でジョイントベンチャーを行っており、今後日本と同じアプリを使い、同じサービスが使えるようになる。特にASEAN諸国では日本に行きたいという欲求が高い。現在課題である交通の分かりにくさをアプリで克服したい。また、日本人と彼らが求めるものが異なるので、望むものをしっかりと反映していく」

 ――今後について。

 「バスや鉄道は重要な事業だが、これは手段。交通手段をしっかり提供しながら、移動に対する新しい価値を作っていく。例えば、ベトナムの方が日本に来た際には日本のタクシーには高くて乗れないと話す人は多い。使いやすい金額で安心して利用できるシェアサービスも必要になる。アフターコロナでは、週末に東京から大阪に遊びに行く感覚で海外を訪れることができるようにしたい。着地のその先の交通を作り、人の移動を変えていきたい。そのためには、それぞれの国の課題をアプリという同じプラットフォームの中で課題解決していかなければならない」

 ――想像する交通サービスは何%まで完成したか。

 「今は70%まできた。今後実証実験を行うことで、実際の利用者のニーズを集め、それに合わせ修正していくことで完成する」

むらせ・しげたか=移動を主体とした社会貢献度の高いビジネスを始めるため94年に創業。18年にはシンガポールに現地法人を設立し、アジア・ASEANで事業化を進めている。

【聞き手・長木利通】

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