
ここまで、「抜け出す経営のための原理原則」というテーマで話を展開してきた。今回で62回になる。このテーマは今回で区切りとし、別のテーマに入っていこうと思うが、最後にもう一度、「抜け出す経営のための原理原則」というものの全体像、またどんなつもりでこれを取り上げたのかについて、振り返っておきたい。
そもそもこのテーマは、「新型コロナウイルスへの経営対応」という流れの延長線上として入った。おりしも1年遅れ・無観客で開催された東京オリンピックが終わり、やはり無観客でのパラリンピック大会が始まろうとしていた時期。そんなさなか、本テーマに入る初回で述べた口上を、少し長くなるが引用させていただく(本連載〈148〉)。
《「今年は台風が多かったから」「コメが不作で農家の景気が悪かったから」…旅館経営者や幹部のこういう「要因評価」は何十年も前からよく耳にしていた。一方、「今年は○○(催しなど)があるから良くなる」といった予測も昔からある。こうした外部要因による業績の浮き沈みは確かにあろう。だがこれが行き過ぎると、良いも悪いも「外部の条件次第」という思考に陥ってしまうので注意したい。業績が良くないのは「…のせい」、これからの業績は「…頼み」となっていないだろうか? これでは経営は成り立たない。…(中略)…(コロナ禍が)これだけ長いと、経営が維持してゆけない旅館も出てくるだろう。かといって、すべての旅館が消えてなくなるわけでもない。生き残る体力と知力を持つところだけが生き残れる。「…頼み」の経営から抜け出そう。》
そして「『…頼み』の経営から抜け出すための原理原則」として、七つの課題を挙げた。
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