お盆期間中は、台風7号の接近により8月16日(金)は東海道新幹線の東京―名古屋間が終日運休となった。14日(水)の夕方に計画運休という形で発表されていたこともあり、対策を取るのに考える時間があった。時間に余裕がある人については、計画運休の前日の15日(木)のうちに予定を早めて、新幹線を利用した人も多くいた。
一方でスケジュールの都合で前日移動ができなかった人において、大きな威力を発揮したのが北陸新幹線の敦賀経由だった。
今年3月に金沢―敦賀間が延伸したことにより、東京駅から敦賀駅まで約3時間強で結ばれた。
例えば、東京駅を朝7時20分に発車する北陸新幹線「かがやき503号」に乗車すると敦賀駅には10時28分に到着。そして敦賀駅10時44分発の特急「サンダーバード16号」に乗車をすると京都駅に11時39分着、新大阪駅に12時02分着、大阪駅に12時06分着となる。東京駅から京都駅まで4時間19分、新大阪駅まで約4時間42分、大阪駅まで4時間46分の所要時間となり、東海道新幹線「のぞみ」と比べると、2時間以上の時間を要することになるが、それほど長時間かからずに別ルートで東京と大阪の間を移動することが可能となっている。
ちなみに東海道新幹線「こだま号」を使った場合、東京から新大阪まで4時間4分かかるが、こだまと比べても30分ほどプラスで時間がかかる程度だ。
今回、東海道新幹線の計画運休に対して、北陸新幹線と特急「サンダーバード」で臨時列車が設定された。これは利用者にとっては非常にありがたい臨時列車であり、臨時列車のおかげで、東京と大阪間を移動できた人も一定数いた。
停電や車両故障などによって東海道新幹線での運転見合わせが今年に入って相次いでいるが、これまでは飛行機が代替手段の中心であったが、北陸新幹線が敦賀に延伸してまだ5カ月しかたっていないなか、完全に東海道新幹線不通時の代替手段としての地位を確立した。
将来的には、福井県の小浜を経由して、京都、新大阪に延伸されることになっている北陸新幹線であるが、ようやくルートが見えてきた段階でまだ開業時期の見通しは立っていないが、早期に開業することで、リニア中央新幹線を含めて日本の大動脈である東京―大阪間の複数移動手段の一つとして定着してほしいと思う。欲を言えば、旅行でも往路は東海道新幹線、復路は北陸新幹線で福井、石川、富山に立ち寄るという流れがあってもいいだろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)