【交通トレンド分析12】発着枠が拡大した神戸空港は課題が多い 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 関西3空港の一つである神戸空港が5月の「関西3空港懇談会」での合意を受け、現在の最大発着回数60回(30往復)から80回(40往復)へ2021年ごろまでに段階的に拡大していくことが明記されていたが、その第1弾として8月1日からスカイマークが神戸発着の茨城、長崎、那覇の3路線を各1便ずつ増便する。例えば神戸―茨城線は現在、神戸発は8時発と18時45分発、茨城発は7時35分発と19時30分発と朝晩それぞれ1便ずつであるが、新たに神戸発の12時発と茨城発の13時55分発が増便されることで便の選択肢が増えることになり、新たな需要を生み出すこともできる。長崎線や那覇線についても同様である。

 さらに10月27日からはフジドリームエアラインズ(FDA)も神戸空港に定期便として乗り入れることを表明した。現時点ではまだ就航都市は明らかになっていないが、他社が就航していない都市へ乗り入れする見込みで、新たな交流が生まれることになりそうだ。

 神戸空港の最大のメリットは、コンパクトなターミナルビルで、ポートライナーの駅が至近距離にあり、他の空港よりも歩く距離が格段に少ないことから利用者からの評判が高く、リピーターが多い空港である。三宮までもポートライナーを使って18分で移動できる。

 このような状況の中で国際線待望論が出ている。CIQ(出入港機能)が完備されておらず、昨年9月に関西空港が台風の直撃で閉鎖された際にも代替空港としての機能を果たせなかったことも記憶に新しい。

 神戸(KOBE)という言葉自体が神戸牛はもちろんであるが、港町神戸の海外での知名度も高いことから、筆者も以前からアジアなどの短距離国際線だけでも神戸空港に乗り入れするべきだと思っている。

 関西3空港懇親会でも25年ごろまでの中期の視点に立った取り組みとして「関空・伊丹を補完する観点から、国際化を含め空港機能のあり方の検討」が明記されている。確かに現在の空港ターミナルビルの施設では受け入れは難しいが、拡張もしくは簡易的な国際線ターミナルを作ってもいいだろう。25年ごろではなく3~4年程度で実現してほしい。

 スカイマークは神戸空港が国際化した段階で国際線定期便を運航したいという意向を表明しており、佐山展生会長は過去に筆者の質問に対して「京都から新幹線で2駅乗車して新神戸駅から神戸空港へのバスを利用することで京都を訪れる訪日外国人も取り込める」と話すなど、大阪、京都からの利用者も見込める。

 今回の増便は最初の一歩であるが、今後のスピード感を持った展開に期待したい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒