
山菜専門の宿
第892回よその旅館ホテル
──山菜料理にこだわった宿ですね。
「出羽三山に入る行者の方々に何かおいしいものを提供したいと考えた時、地元にはこんなに豊かな『山のもの』があると気付いたのが始まりです。地元の人にとって山菜は生活のため、冬を生きるためのものでしたが、多くの方にそのおいしさ、食文化を知ってもらおうと、山菜料理にこだわっています」
──出羽屋さん自らが3月31日を「山菜の日」として記念日登録されたそうですね。
「この地方の3月31日はまだまだ雪が多くて、春の芽吹きは感じられませんが、自分たちから芽を出して『山菜文化』を発信したいとの思いを込めて登録しました」
──山菜をテーマにしたイベントも。
「昨年の『山菜の日』には、ビュッフェスタイルで山菜料理を楽しむイベントを開催しました。『山菜交流会』として山菜採りの名人などを交えて山菜料理を囲む企画なども開催しています。山菜について知りたいという若い方も増えていますよ」
──ここまで山菜に特化した宿は珍しいですね。山菜の魅力は。
「待ちわびた春の恵みを吸収し、そのありがたみを体全体で感じる。優しい食感のウルイ、ぬめりがあるコゴミ、えぐみを持ったシドケ、甘みのあるアイコなど、それぞれの食感が魅力です。また山菜料理は年間を通して提供していますが、それができるのも、塩漬けや乾物など、昔の人の冬を生き抜く知恵のおかげです」
──部屋も、風呂も素敵ですね。
「江戸時代の蔵を地元から移築した『蔵座敷』の部屋をはじめ、客室数は10室です。風呂は月山の自然水を利用していて柔らかくて癒やされると評判です」
【1泊2食付き1万円(税別)から】