春日大社一の鳥居横に
第1030回よその旅館ホテル
――奈良公園内に立地されていますね。
「奈良公園の真ん中、春日大社一の鳥居横です。元は春日大社の瓦を造っていた場所でしたが、宿坊として営業を始め、今年で創業120年、私で4代目になります」
――宿はどのような建物、客室ですか。
「奈良の景観になじむ社寺建築です。貴賓室の『瑞雲』は、春日大社の宮大工が手掛けた客室です。客室数は和室9室で、水墨画や一刀彫を配し、調度品も奈良らしさにこだわっています。廊下は畳敷き、お抹茶を提供する茶室もございます。館内では、南都七大寺の高僧の書など多くの書も鑑賞できます。客室にも一幅ずつ書の軸が掛かっています」
――どのような料理を提供していますか。
「『大和路会席』の名称で、茶懐石がベースです。旬の大和野菜をはじめ地産地消を心掛けています。器はオリジナルで焼いていただいた奈良の『赤膚焼』を使っています。夕・朝食ともにお部屋で提供しております」
――風呂は。
「浴槽は古代檜（ひのき）、床板は黒御影石です。男女それぞれに大浴場がございます」
――経営に関してモットーなどはありますか。
「『ただひたすらに奈良の旅亭でありたい』という先代女将の思いを受け継ぎ、ここでしかできない旅館を目指しています。例えば、接客係はお客さまをお出迎えからお見送りまで1人が一貫して担当するスタイルを守っています。効率的で利便性の良いサービスは他の施設にもありますが、当館では旅館を追求したい。年齢を重ねて自分の原点を見つめ直すということがありますが、原点に立ち戻って旅館の本質を考えていきたいですね」
【1泊2食付き3万円（税別）から】
奈良老舗の宿「四季亭」
