
本保長官(右)に要望書を手渡す舩山会長
日本ツーリズム産業団体連合会(TIJ、舩山龍二会長)はこのほど、「中国における外資系旅行会社、および査証(ビザ)に関する要望書」を本保芳明観光庁長官に提出した。要望書は、日本を含めた外資系旅行会社が中国国内で観光客の取り扱いができるよう中国政府に働きかけるとともに、ビザ発給手続きの改正や発給体制の強化を求めている。
要望書によると、中国では旅行社管理条例などで外資系企業による中国人の海外旅行業務は許可されておらず、また会社の設置を許可されたとしても本店のみであり、同一市内のおける支店開設も認められていない。
要望書は、同条例改正を中国政府に働きかけ、外資系企業による観光旅行の取り扱いを含む中国人海外旅行業務と支店開設の解禁を求めた。「中国で海外旅行業務(訪日旅行業務)に携われることができれば、新たな視点から訪日旅行を開発することができ、中国国民にとっても選択肢が広がるメリットがある」とTIJは言う。
ビザについては、旅券に貼付する現行の方式から、団体ごとに名簿を作成しビザを発給する「名簿方式」に変更。「これにより在外公館や旅行会社の負担軽減が図れる」とTIJは見る。併せて日本の入国審査体制の迅速化を要望した。
昨年3月から家族観光ビザ制度が試行されているが、「日中双方からの添乗員が必要という制約により、これまで4組10人というわずかな発給事例しかない」(TIJ)ことを受け、添乗員制度の見直しや年収要件の12万元への引き下げ、添乗員が不要となる富裕層向け「個人観光ビザ」の創設──なども盛り込んでいる。
「個人観光ビザの創設により、中国人の大幅な訪日旅行意欲、特に経済波及効果の高い富裕層の訪日旅行需要が喚起される」(同)としている。

本保長官(右)に要望書を手渡す舩山会長