独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで公正取引委員会が宿泊予約サイトを運営する大手OTA(オンライン・トラベル・エージェント)3社に立ち入り検査した問題を受けて、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)青年部はこのほど、部員らを対象に同問題に関するアンケート調査を実施した。OTAの「最安値を求める条項」により、自社サイトなどで自由な価格設定ができず、消費者に値頃感のある商品を提供できなかったとする旅館・ホテルは63.3%、消費者のニーズに合わせた自由な価格設定を行いたいとする旅館・ホテルは94.7%に上った。
同問題は、大手OTA3社(楽天、エクスペディア、ブッキング・ドットコム)が、それぞれ契約する旅館・ホテルに対し、宿泊プランの料金設定で競合サイトや宿公式サイトと同等またはそれより安い価格にするよう求めるなど、不当な取引条件を付けた疑いが持たれているもの。独禁法第19条では事業者に対し、販売価格の自由な決定を不当に拘束するなどの「不公正な取引方法」を禁止している。
アンケートは全旅連青年部員らを対象に4月13~17日の5日間、ウェブで実施。417人が回答した。
「3社の最安値を求める条項により、自社・他社サイト等で自由な価格設定ができず、消費者に値頃感のある商品提供ができなかったと感じたことはあるか」との問いでは、「ある」に63.3%、「ない」に36.7%が回答。
「今後、消費者のニーズに合わせ、自由に価格設定を行い、値頃感のある商品提供を行いたいか」では、「はい」に94.7%、「いいえ」に5.3%が回答した。
今回、問題となった3社以外のOTAやリアルエージェントからも最安値を求める案内があったため、自社サイトなどで値頃感のある商品提供ができなかったとする回答も38.4%あった。
アンケートではOTAなどへの客室提供に関わる問題にも触れ、「(OTA)3社の『他社と同数もしくは多くの部屋在庫提供を求める条項』により、消費者への自由な在庫提供を阻害されたと感じたことはあるか」では、「ある」に58.5%が回答している。
調査に関わった関係者は「商品価格を自社がベストレートで販売できないことは、最終的に消費者が損をすることにつながる」と、OTAなどとの関係について改善を求めている。