JALグループは11月2日、2027年3月期第2四半期連結業績(2026年4月1日〜2026年9月30日)を取りまとめた。売上収益は1兆989億円(前年比+11.7%)で、第2四半期累計・単独ともに再上場後の最高収益を達成した。
EBITは701億円(前年比▲36.0%)、純利益は390億円(前年比▲42.2%)だった。通期業績予想と年間配当金予想は変更せず、中間配当金は1株当たり48円と決定した。
売上収益は再上場後最高、EBITは燃油高と円安が重荷
売上収益は、航空事業とマイル/金融・コマース事業で前年を上回った。国際旅客と国際貨物の旺盛な需要を捉えた機動的な価格調整と、国内旅客の単価向上などが寄与した。
営業費用は前年比+16.5%の1兆382億円。燃油市況の高騰に加え、為替が円安基調で推移したため、燃油費が前年から大幅に増加した。
EBITは、国際旅客などの高い収益力や非航空事業などの多角的な収益基盤で、強い逆風に対応した。第1四半期のEBIT計画の下振れを挽回し、上期累計で期首計画を上回る水準に回復した。
2026年4月30日公表の2027年3月期通期業績予想は次の通りで、変更はない。
- 連結売上収益:2兆950億円
- EBIT:1,800億円
- 純利益:1,100億円
- 年間配当金予想:1株当たり96円(うち中間配当は48円)









フルサービスキャリアは増収減益、国際貨物収入は+46.8%
セグメント別実績の売上収益とEBITは、セグメント間連結消去前の数値。フルサービスキャリアとLCCの両事業は、燃油市況高騰の影響で増収減益となった。マイル/金融・コマース事業は増収増益だった。
フルサービスキャリア事業の売上収益は前年比+14.2%の8,849億円。EBITは前年比▲45.3%の416億円だった。機動的なレベニューマネジメントによる国際・国内旅客の単価向上と、貨物専用機のネットワーク拡充による貨物需要の獲得が増収に寄与した。
国際旅客は、燃油市況の高騰にあわせて燃油サーチャージ収入が増加した。機動的なレベニューマネジメントで単価も大幅に上昇した。旅客数は前年比▲3.1%と減少したが、旅客収入は前年比+16.0%の増収となった。
国内旅客は、高需要期を捉えたレベニューマネジメントで、単価が前年比+8.2%向上した。旅客数は前年比▲2.2%と減少したが、旅客収入は前年比+5.8%の増収だった。
貨物郵便の国際線は、貨物専用機ネットワークを活用し、AI関連を中心としたアジア発北米向けの旺盛な需要を取り込んだ。貨物収入は前年比+46.8%の大幅増収。国内線は新規顧客の獲得に取り組み、前年比+6.3%の増収となった。
LCCは増収も、EBITは前年比▲73.0%の18億円
LCC事業の売上収益は、LCCマーケットの需要増で前年比+11.4%の658億円。燃油市況高騰の影響でEBITは前年比▲73.0%の18億円となった。
ZIPAIRは、高速インターネット「Starlink」の全機搭載完了によるプロダクト価値向上と、柔軟な価格戦略で、前年比+12.3%の増収。
SPRING JAPANは、北京・上海(浦東)線などを中心に、供給減による需給の引き締まりを捉えた。前年比+6.6%の増収と、大幅な単価向上を実現した。
マイル/金融・コマースは増収増益、その他は減収減益
マイル/金融・コマース事業は、JALカード決済額の増加や海外金融機関とのグローバルな業務提携の強化で、非航空領域の発行マイル数を伸ばした。マイル償還機会の多様化を通じてマイル循環も促した。
売上収益は前年比+12.7%の1,216億円、EBITは前年比+5.4%の222億円で、安定的に利益を伸ばしている。
その他は、東アジアおよび中東における海外航空会社の減便に伴う受託便の減少などで、売上収益が前年比▲7.1%の1,188億円、EBITが前年比▲13.7%の55億円となった。
直近の取り組み:E190-E2を26機発注、大韓航空と覚書
フルサービスキャリア事業の主な取り組みは次の通り。
- 大阪(伊丹)を拠点に日本各地をつなぐJ-AIRが 運航するエンブラエルE170/E190型機の後継機として、エンブラエルE190-E2型機の導入を決定した。26機(確定発注16機、オプション10機)を発注し、2029年度から導入する予定
- 2026年9月3日、大韓航空との戦略的パートナーシップに関する覚書に署名し、共同宣言を発表した。60年以上にわたり育んできた強固な協力体制を次の次元へ引き上げ、日韓を起点としたアジア、そしてグローバル市場で、新しい価値と顧客体験を創造するとしている
- 2026年度下期から、JTAが運航する那覇=台北(桃園)線を増便し、夜帯のダイヤを加えた2便運航とする。沖縄へのインバウンド誘致に貢献する
- 大阪(伊丹)=帯広線を2026年12月に新設する。夏期のみ運航していた大阪(伊丹)=旭川線・女満別線は、2026年度下期から通年運航とする。大阪=北海道(道東・道北)間の路線を強化し、利便性を向上させる
- 2026年10月8日、羽田空港第1ターミナル北ウイングの国内線ラウンジをリニューアルオープンした。ファーストクラスラウンジの座席数は従来比約1.4倍に増えた
LCC事業では、ZIPAIRが2026年10月に成田=クアラルンプール線の運航を開始した。2026年8月には成田=オーランド間の直行チャーター便を3往復運航し、北米市場の新たな需要の取り込みを進める。
スプリング・ジャパンは10月26日にブランドリニューアルを発表した。2026年内に、新塗装を採用した初号機が運航を開始する予定だ。
貨物事業では、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社と、10月3日にアジア域内と北米=アジア間の輸送提携を開始した。JALがパートナーとの連携で運航するボーイング747型貨物専用機を活用する。
マイル/金融・コマース事業では、ホテルグループ「FHG HOTELS」でJALマイレージバンク(JMB)会員向けの新サービスを開始する。宿泊時にマイルが積算されるほか、宿泊費の支払いに使えるクーポンを「JAL マイルde体験」で交換できるようになる。
新規事業とサステナビリティ
新規事業では、フランスの航空機整備用ドローンメーカーDonecleと共同で、国内初となる完全自動飛行ドローンを活用した機体外観検査の検証を開始した。航空機メーカーの整備マニュアルで認められた技術だ。整備士による目視検査のための高所作業をドローンで代替し、作業時間の大幅な短縮と整備作業の安全性向上、機材品質の向上につなげる。
サステナビリティでは、2027年3月に開催されるGREEN×EXPO 2027の「ゴールドパートナー」として協賛する。「自然と共生した持続可能な社会の創造」と「JAL Vision 2035」の実現へ向け、「小さなひとつ」のアクションを共に創造するとしている。
CO₂を直接分離・回収するネガティブエミッション技術の導入・推進に向け、株式会社日立製作所、株式会社商船三井と共同で、沖縄県久米島で「ダイレクト・オーシャン・キャプチャー(DOC)」の国内初実証を実施する。
スイスのスタートアップ企業Climeworks Solutionsとは、「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)」由来のCORSIA適格CO₂除去クレジットの購入契約を世界で初めて締結した。海洋と大気を起点とした多角的なCO₂除去アプローチで、脱炭素社会の実現とブルーエコノミーへの貢献を目指す。





