9月16日に発生し21日に関東地方へ接近した台風25号による大雨で、線路への土砂流入などの被害を受け、運転を見合わせているJR内房線の姉ケ崎―長浦間が、11月9日の始発から運転を再開する見通しとなった。当初は復旧に少なくとも3カ月程度かかるとされていたが、1カ月半以上の前倒しとなる。特急「さざなみ」も全列車が運転を再開する予定だ。
私の実家は千葉県木更津市にある。東京方面へは東京湾アクアラインを経由する高速バスがあり、鉄道が不通でも移動手段を確保できる。一方、千葉方面へ鉄道で向かうには、途中の長浦―姉ケ崎間で代行バスへの乗り換えが必要であり、同じ木更津からの移動でも、行き先によって受ける影響は大きく異なる。
代行バスは時間帯によっては交通渋滞もあり、道路状況にも所要時間が左右され、姉ケ崎駅や長浦駅の乗り換えや待ち時間も加わり、通常より長い時間を要する。毎日の通勤、通学となれば、負担は決して小さくない。
木更津―長浦間の列車も運転時間が限られ、現状では木更津発の長浦行き最終は20時48分、長浦発の木更津行き最終は21時33分。さらに、千葉方面へ向かう最終の代行バスに接続する列車は木更津発20時15分だ。夜遅い時間帯に列車がないため、仕事や学校の後の行動にも制約が生じている。
影響は利用者だけにとどまらない。木更津駅周辺をはじめ、駅近くの飲食店の来店数にも響いている。帰りの交通手段を気にして早く帰宅したり、外食を控えたりすることは、地域の消費を冷え込ませることにもなる。鉄道が人を運ぶことで生む消費も多い。
また、自動車の運転ができない学生(高校生や大学生)への影響も大きく、私が講義を担当する市川市の千葉商科大学でも、通学への影響を踏まえ、一部で対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド形式を取り入れている。学生が安心して通える通学環境の大切さを感じる。
前倒しの発表に、安堵(あんど)の声が上がるのも当然だろう。千葉県の熊谷俊人知事はXの投稿で、並行する県道や民有地を含む崖地の土砂撤去が順調に進み、県道側からも線路内の土砂を撤去できたと説明。JR関係者や県職員、日本建設業連合会、現場の従事者らへの感謝を表した。関係者が力を合わせ、復旧を早めた意義は大きい。
運転再開は、通勤、通学、買い物や外食など、地域の日常生活を取り戻す大きな一歩になる。そういった意味でも、最初の想定よりも1カ月半前倒しで運転再開になったことを評価したいと思う。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)




