利用客にモバイルバッテリーの館内使用禁止を呼び掛ける案内
神奈川県箱根町の一の湯(小川尊也代表)はこのほど、国登録有形文化財「塔ノ沢一の湯 本館」をはじめとする旅館9施設などで、モバイルバッテリーの館内利用に関するルールを見直した。近年、モバイルバッテリーによる火災事故の増加を踏まえ、利用客が持参したバッテリーの館内使用を全面禁止し、防火管理を強化する。
消防庁がまとめた「2025年リチウムイオン電池等から出火した火災の調査」の結果によると、全国の消防機関が把握したリチウムイオン電池などによる火災は、2024年の982件から25年には1297件に増加。このうち、モバイルバッテリーからの出火は同290件から同482件と約7割増加している。
同社を代表する塔ノ沢一の湯 本館は、塔之澤温泉の入り口にたたずむ1630年(寛永7年)創業の老舗宿。木造4階地下1階建ての数寄屋造りが特徴で、09年、国の登録有形文化財に指定された。
今回のルール見直しでは、利用客が持参したモバイルバッテリーの館内使用を全面禁止に。バッテリー本体からの充電やコンセントからの充電、落下して強い衝撃が加わったバッテリーの使用も禁止とする。その代わりとして、利用客の要望があれば、安全性に配慮した全固体リチウムイオン電池を使用したモバイルバッテリーの貸し出しを行う。
利用客への周知に向けては、チェックイン時にフロントで可能な限り案内しているほか、日本語と英語で使用禁止を呼び掛けるリーフレットを客室内に設置した。また、モバイルバッテリーによる過熱や異臭などの異常が発生した際に迅速に対応できるよう、スタッフへの初期対応手順の周知や安全管理体制も強化した。
9月中旬の案内開始から約1カ月が経過したが、本館の利用客を中心におおむね理解を得ているという。同社は「歴史ある文化財などを守り、今後も変わらぬ風情を届けるため」として、引き続き利用客に理解を求めている。
【溝部あゆ美】

利用客にモバイルバッテリーの館内使用禁止を呼び掛ける案内




