水上サウナから湖畔リトリートまで 「熱、水、自然、立ち止まる時間」フィンランドの最新サウナ6選


 Visit Finland(フィンランド政府観光局)は9月17日、新たな形へと進化するフィンランドの最新サウナ6選を発表した。都市の水上サウナから神話に着想を得たサウナ、湖畔の宿泊施設まで、多様な形態の施設が紹介された。「熱、水、自然、繋がり、そしてゆっくりと立ち止まる時間」という本質はそのままに、現代のウェルビーイングやデザイン、アウトドアアクティビティと結びついた、クリエイティブな進化の一端が示されている。

 フィンランド人にとって、サウナは単なるウェルネス習慣ではない。国民的なアイデンティティの一つであり、リラックスし、人々と交流し、火照った体を冷まし、自然の中で過ごすための場所だ。日常生活に欠かせない要素でもある。その本質や伝統を大切に受け継ぎながらも、現代の多様なライフスタイルと結びつき、ますます多彩な形へと発展を続けている。

1200平方メートルのウェルビーイング空間「Kämp Spa」

 ヘルシンキの中心部にある「Hotel Kämp」が、フィンランドのサウナの伝統とリカバリー(疲労回復)やウェルネスに対する現代的なアプローチを組み合わせた、1200平方メートルのウェルビーイング施設「Kämp Spa」をオープンした。

 伝統的なフィンランド式サウナや、スチームサウナ、赤外線サウナに加え、プールや水風呂、独自トリートメントを完備。さらに、クライオセラピー(冷却療法)、ニューロソニックベッド、着圧セラピーなどの施設独自のトリートメント設備によって、一人ひとりにあったウェルネス体験を提供している。

 自家製コラーゲンアイスクリームや、伝統的なサウナ桶(löylykiulu)にインスパイアされたカップで提供される特製カクテルなど、遊び心のあるディテールにもフィンランドの伝統が息づく。

 Kämp Spaは、サウナ、リカバリー、そして日常の儀式がエレガントな空間で融合する、フィンランドのウェルネスの現代的な解釈を提案している施設だ。

セルフサービスで海へ飛び込む オウルの水上公共サウナ「Hehku」

 オウルでは、サウナ文化が海へと広がっている。オウルマーケット広場のすぐそばに位置する「Hehku」は、サウナで温まった後、そのまま海に入って泳いだり涼んだりできる水上の公共サウナだ。

 Bastusaunaのコンセプトによって創設され、今年7月にオープン。Hehkuは全てセルフサービスで運営されており、オンラインで予約をすると個別のアクセスコードが送られてくる仕組みだ。予約時間に合わせて訪れるだけでよい。

 年中無休で営業しており、夏には爽快な遊泳を、冬は冷たい水や氷の張った海での寒中水泳と、季節ごとに全く異なるフィンランドならではのコントラストを楽しめる。

 サウナと水泳、そして街の中心部にある水辺という立地の組み合わせにより、Hehkuは都市生活の一部としてフィンランドのサウナ文化を手軽に体験できる場所となっている。

 

対照的な2つのサウナでピュハ湖を望む「Lempee Sauna & Stay」

 レンパーラに位置する「Lempee Sauna & Stay」では、サウナと湖畔のモダンな宿泊施設が融合している。対照的なデザインの2つのサウナには大きなガラス窓があり、ピュハ湖を見渡しながら周囲の自然を体験の中に取り込むことができる。

 「Kajo」は、現代的なスカンジナビアン・サウナデザインを体現しており、明るくミニマルな雰囲気の中で優しく心地よいロウリュ(サウナストーンに水をかけて発生する蒸気)を楽しめる。一方「Korpi」はフィンランドのサウナの伝統を受け継ぎ、手斧で削られた丸太、温かみのある照明、そして温度を変えて楽しめる3段のベンチを備えている。

 ゲストは、温水・冷水プール、湖での水泳、そして自然に囲まれた2名用のコテージ5棟も楽しむことができる。タンペレ中心部から30分弱という立地だ。

 

フィンランドの神話から着想 パイエンネ湖畔の「Sisusauna」

 パイエンネ湖の畔に位置する「Sisusauna」は、古代の岩絵、地元の物語、そしてフィンランドの神話から着想を得た施設だ。伝統的なフィンランドの木材と現代の職人技が、古代のエッセンスとモダンデザインが交差する空間を創り出している。

 3段のベンチで異なる強さのロウリュを楽しめるほか、目の前に広がる湖がこの体験の核となっている。

 Sisusaunaは、大人専用のアウトドアスパ「AISTI Sauna Spa」に新しく加わった施設だ。このスパには5つのサウナ、温水インフィニティプール、屋外ジャグジーがあり、パイエンネ湖に直接アクセスして水泳や冬の氷中水泳を楽しむことができる。その中心にあるのが、2026年にフィンランドのベストサウナに選ばれた伝統的なスモークサウナだ。

 AISTIのこれらの体験は、「サウナをフィンランドの自然、木、煙、冷水、そして静寂を通じた感覚的な旅へと昇華させている」とされている。

 

「ただサウナ、冷たい水、海辺で過ごす時間があるだけ」 ヘルシンキの「Löylykontti」

 ヘルシンキの有名なサウナランドマーク以外の場所を探している旅行者にとって、「Löylykontti」は日常の都市生活の一部としてのサウナを垣間見ることができる場所だ。スヴィラハティウォーターフロントに位置するソルナイネンの最新施設では、バルト海を一望することができる木張りのコンテナサウナが2棟設けられている。

 他の利用者と一緒に楽しむセッションのほか、サウナを貸し切ることも可能。夏にはそのまま海へ、冬には整備された氷の穴から寒中水泳を楽しむことができる。

 コンセプトは意図的にシンプルに作られている。受付やメンバーシップ、決められた作法などはない。「ただサウナ、冷たい水、そして海辺で過ごす時間があるだけ」だ。

 スヴィラハティの文化施設や、カッリオ地区のレストランやバーにも近く、地元の住民が一年を通して通うような「近所のサウナ」を体験する機会を旅行者に提供している。

 このコンセプトは現在拡大中で、エイラ、ヤトカサーリ、タパニンヴァイニオ、パレッティランピの4つのヘルシンキ市内の新拠点の計画が進められている。いずれも冬の寒中水泳を楽しめることを念頭に設計されている。

 

サウナ×グラベルサイクリング ヨエンスー郊外の「Lykynlampi Sauna World」

 ヨエンスー郊外に位置する「Lykynlampi Sauna World」は、サウナ、カレリア地方の伝統、自然、そしてアウトドアアクティビティを融合させた施設だ。

 現在、「Kelo」と「Valo」という2つの体験型サウナを備え、夏には湖での水泳、冬には寒中水泳や冷水プールを楽しむことができる。周辺のレクリエーションエリアでは、フィンランド最大の景観ブランコをはじめ、「Lykyfest」などのイベントも開催され、サウナ以外にもさまざまな体験が楽しめる。

 また、Lykynlampiはグラベルサイクリングを楽しむ人々の立ち寄りスポットとしても注目されている。サウナでは自転車のレンタルも可能で、「Saimaa by Cycle」ネットワークの一部である全長約65kmの「Pyhäselkä Loop」をはじめとするサイクリングルートを楽しむことができる。

 「Lykynlampi Sauna World」は現在も拡大を続けており、3つ目となる体験型サウナを建設中だ。2027年のオープンを予定しており、カレリア地方のサウナ文化を体感できる新たな魅力が加わることになる。

 水上に浮かぶ都市型サウナや現代的なスパから、湖畔の宿泊施設、自然の中で楽しめるアウトドアサウナまで、これらの施設はフィンランドのサウナ文化が新しい形を見出し続けていることを示している。それでも、その本質は変わらない。熱、水、自然、繋がり、そしてゆっくりと立ち止まる時間。そのすべてが、今も変わらずサウナの核心に存在する。

 Visit Finlandは旅行先としてのフィンランドブランドを発展させ、海外旅行者へのプロモーションを行っているフィンランド政府観光局だ。Business Finlandのグループ機関として、旅行業界の企業のグローバル化支援も手がけている。詳細はウェブサイト(https://www.visitfinland.com/)で確認できる。

 
 

注目のコンテンツ

第39回「にっぽんの温泉100選」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2025年度「5つ星の宿」発表!(2025年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第39回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング 」(2026年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト50を発表!

2025年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング」(2026年1月12日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒