千葉氏
東京都観光経営人材育成講座は今年、3カ年事業の総仕上げ。そこで2泊3日のフィールドワークで実践的な学びを盛り込んだ。
その第1弾「尾瀬かたしなネイチャー体験」が先日、終了した。
昨年の「至仏山荘」1泊2日よりも、アドバンスな行程だ。
初日は、大清水から一ノ瀬を経て「尾瀬沼山荘」に泊まり、山小屋ディナーを。中日は、尾瀬沼の北岸コースをたどって沼尻、見晴、そして「東電小屋」に泊まる。最終日は牛首分岐から山の鼻、鳩待峠でアウトして、「ぐんぎん片品発電所」を見学する。「尾瀬沼」と「尾瀬ヶ原」のいずれも堪能できるコース内容だ。
ガイドは今年もまた、「アツニー」こと斎藤敦さん、そして看護士からガイドに転じた堀込千草さんの2人がアサインされた。尾瀬登山や尾瀬自然解説の認定ガイドで、ハイレベルな話を聞ける。
尾瀬沼山荘でのディナーが気になるだろう。運営する泉部(いずみべ)充さんは、都内の税理士事務所をたたんで、尾瀬に住みついたという異色の経歴。東京・表参道の伊レストラン「SANTA」とのコラボで、本格イタリアンのフルコースが味わえた。
事故は2日目に起きた。この日は明け方から大雨で、山小屋は停電。そこで出発を1時間、遅らせた。もやにかすんで、尾瀬沼の水鳥たちが幻想的に映る。「長蔵小屋」付近を過ぎて、沼尻で昼食をとり、大きな岩がゴロゴロする白砂峠は慎重に歩を進めた。岩場の難所をクリアした直後のこと、下りの木道でツルっと滑って仰向け転倒したのである。背中のザックが頭を守ってくれたが、右足をひどくねじった。
そこからのアツニーの動きが早かった。まずは私と自分のザックをロープでくくり、ダブルザックで担ぎあげる。歩くほど痛さが増した。やっとたどり着いた見晴で、今度は千草さんが足の様子をみてくれた。くるぶしが異常に腫れていた。東電小屋まで歩けないと判断したアツニーは、見晴で泊まれる山小屋を素早く交渉してまわった。
ちなみに、尾瀬域内の山岳救助はヘリコプターによるつり上げが主という。しかも、救助要請した場所(福島・群馬・新潟)の各県警や消防によるもので、搬送先の病院は、当然ながら管轄県の救急となる。見晴付近なら福島の病院へ、東電小屋なら新潟へと運ばれるのが基本だ。
「檜枝岐小屋に決まった」と言ってアツニーが、私を”おんぶ”して宿へと運び、あとを千草さんに託して、あっという間に皆を東電小屋へと連れていった。千草さんが南会津署へ通報したが、悪天候でヘリ出動ができないからと、翌朝判断になった。
翌早朝、内出血が広がるもテーピングが効き、何とか歩けそうな気配。濃霧でヘリも見通せないと電話がきて覚悟を決めた。皆と合流後は、千草さんに旅程管理をバトンタッチして、私はアツニーと随行教員の3人で離団。鳩待峠までの約10キロメートルを無事、歩き切った。ガイド2人の見ごとなプロ魂には感動した。
さて、検査結果は足関節の捻挫で骨折はなく、全治3週間。ご参加の皆さま、片品村、東京パワーテクノロジーはじめ関係者の皆さまに多大なるご迷惑をおかけしました。講座責任者が転びました。
(観光ジャーナリスト・淑徳大学経営学部観光経営学科教授 千葉千枝子)




