【口福のおすそわけ615】アメリカンBBQ! 竹内美樹


竹内氏

 日本とアメリカでは、バーベキューのスタイルが全く違う。日本では、肉と野菜を串に刺したモノや、薄切り肉やステーキ、殻付きホタテや牡蠣(かき)、エビなどを網に載せて焼く、直火焼きが多い。一方アメリカでは、巨大な塊肉を使う。当然容易に火が通らないから、黒焦げにしないために、ふたを閉めて熱した空気で間接的に火を入れる。燻製(くんせい)用のチップを入れれば、同時にスモークもできる。調理法としては、ロースト、もしくは熱燻と呼ばれる。アメリカでも、モチロン直火でステーキやハンバーガーパティを焼くが、コチラはグリルと呼ばれる。

 さて、ウンチクは措(お)くとして、先日、本格的なアメリカンBBQをいただいた。東京飯田橋の「MIDTOWN BBQ」という店だ。アメリカンBBQの三大料理といわれるのが、ブリスケット・スペアリブ・プルドポークだが、その全てが食べられるなんて都内では珍しい。ナゼって、煙や臭いが充満するので、建物が密集している地域には適さないから。

 中でもおなじみのスペアリブは、豚の骨付きバラ肉。オーブンで焼いたスペアリブはわが家のお袋の味だが、同店ではBBQピットを使用した、スモークスペアリブだ。軟骨や余分な肉を切り落とし、長方形に整えたセントルイス・スタイルで、8本のフルサイズだけでなく、4本のハーフサイズもあってうれしい。ナイフを入れただけで、骨がホロリと取れてしまうほど軟らかく、超ベリウマ♪

 そして、近年日本でもにわかに人気が出てきたプルドポーク。豚肩肉などの塊肉を、低温でじっくり加熱し、ホロリと崩れるくらい軟らかく調理した後、フォークなどで裂いたモノ。力を入れずにPulled(引き裂く)できるのでこの名が付いた。初めて訪れた際はタコスのトッピングとしてサルサとともに。次にはサンドイッチで。軟らかジューシー、ハマっちゃう美味!

 イチオシはブリスケット。同店のそれは何とA5黒毛和牛! ブリスケットとは、牛の肩バラ肉を指す。よく動かす部位なので肉質は硬いのだが、コラーゲンがタップリ含まれている。低温でゆっくり火を入れることで、それがゼラチン化するので、しっとり軟らか、とろけるような食感に。濃厚なうまみとスモーキーな香りもたまらない♪

 この方法を「ロー&スロー」と言うのだが、どれくらい時間をかけるのか? スタッフに尋ねたところ、スペアリブで約8時間、ブリスケットは何と16時間もかけているのだそう。

 もう一つ超美味だったのがクリスピーチキンバイツ。味付けが選べるので、オリジナルドライスパイスを選択。骨なし鶏モモ肉を4時間かけてスモークし、最後に軽く揚げてサクッとした食感に仕上げてある。外はサクサククリスピーで、中はジューシー。

 一品料理には、フライドポテトやコールスローなど、選べる2品のサイドがつく。腹パンになるまで満喫したのに、4日後にまた行っちゃったほどクセになる味。次はいつ行こうか?

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 

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