前回コラムでは、役員退職金制度を活用して自社株の評価額を下げる手法を述べた。今回コラムでは、株を承継しても経営権を手放さずに済む方法を取り上げたい。
旅館・ホテルの経営者に株を誰が持っているかと尋ねると、一部は既に後継者へ贈与しているという答えが返ってくることが多い。それでも経営への関わりは以前と変わらず、大事な決定は今も自分が下しているのが実情である。残りの株を渡し、後継者の持ち分が過半数を超える段階になると判断は慎重になる。全てを渡してしまえば、自分に相談のないまま物事が決まっていくのではないか。こうした不安から、株の承継が途中で止まっている宿は珍しくない。
その不安を、感情の問題と軽く片付けるべきではない。長年宿を背負ってきた経営者にとって、株は財産である以上に、自らの立場そのものだからである。
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