竹内氏
先日、超久々に生の牛肉をいただいた。牛生肉がネタの肉寿司(ずし)だ。美しい赤い肉に、白いサシが奇麗なマーブル模様に入っていて、見ただけでウットリ♪ ユッケや牛刺し、牛のたたき、タルタルステーキなど、生の牛肉が大好物の筆者にとっては、まさに垂ぜんモノ。
だが、大好物なのにナゼ久々? それは提供する店が激減したからだ。昔は焼肉屋の定番だったユッケが一時姿を消していた。親しい焼肉店も、牛刺しをメニューから外した。2011年に起きた集団食中毒事件を受け、厚生労働省が同年、生食用牛肉の表面加熱を義務付ける、罰則付きの新基準を施行したからだ。
新基準では、枝肉を小分けにした肉塊を密封し、湯煎等で表面から深さ1センチ以上の部分まで、2分以上加熱せねばならない。飲食店は加工業者から加熱処理した肉を仕入れ、表面を削り取る「トリミング」を施し、中心の生の部分だけを調理・提供することが求められる。かなり歩留まりが悪くなる上、設備や器具、衛生管理方法などが細かく定められたため、そこまではカバーできないと提供を諦める店が続出した。
しかし、牛肉の生食が禁止されたワケではない。基準を満たした肉を適切に扱えば提供できるのだ。実際、筆者が今回訪ねた「肉寿司 肉和食 KINTAN コレド室町」の店長にお話を伺うと、「保健所にいろいろご指導いただいた上で、しっかり衛生基準を守って調理しています。例えば一作業ごとに包丁とまな板を洗浄・消毒するなど、とても気を遣う必要があります」と。その分、消費者の安全が担保されるのだからありがたい。
筆者が食したのは、ランチの「牛肉寿司8貫KINTAN御膳」。前菜2品とサラダ、和牛ロースのトリュフすき焼きにみそ汁、肉寿司8貫と巻き物という内容。すき焼きには卵黄と、トリュフのスライスが添えてある。お肉で巻いて召し上がって下さいと、別皿で、まん丸な小さいご飯も運ばれた。すき焼きには白飯がうれしいし、実は同店、羽釜で炊いたご飯も人気なのだ。ちょうど良くロゼ色に火が入った和牛ロースはムチャクチャ軟らか、卵を崩して香り高いトリュフとともに口に運べば、超シアワセ♪
肝心の肉寿司は、赤身・赤身とウニ・ザブトン・赤身ユッケ・牛タンの湯引き葱(ねぎ)塩添え・ザブトンの炙(あぶ)り・ローストビーフ・牛タンのバッテラの8貫、そしてサガリとたくあんの巻き物というぜいたくなラインアップ。
赤身肉でもキレイにサシが入っている。丁寧に飾り包丁が施され、シャリが小さ目でバランスが良い。コレだけでも十分美味だが、ウニが加わるともう最高! そして、肩ロースの一部で、細かいサシが入りやすい希少部位ザブトンは、肉のうま味と甘味が強く超絶ベリウマ! 口の中で溶けちゃいそう♪ 絶品肉寿司をたくさん堪能して、大満足!
この口福が味わえるのも、肉の生食文化を後世に残せるのも、提供者の皆さまのおかげ。最近生食ができる店が増えてきたのは、うれしい限り。応援したいな♪
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。




